今度は大分?終息宣言目前に衝撃…鳥インフルエンザ

読売新聞WEB版
2004/02/17/14:09

 まだ終わらないのか――。大分県九重町で17日、新たに鳥インフルエンザと疑われるケースが見つかった。しかも、感染が疑われているのは養鶏場の鶏ではなく、愛玩(あいがん)用に飼われていたチャボ。19日には最初に鳥インフルエンザが見つかった山口県阿東町周辺の鶏の「移動制限区域」が解除され、「終息宣言」が出されることになっていた。新たな被害の広がりに、関係者から失望と驚きの声が上がった。

 九重町に隣接する庄内町で、採卵養鶏場を営む福山訓子さん(66)は「鳥インフルエンザが発生した製材所から移動制限区域の半径30キロに入るのか」と不安を募らせる。

 3棟の養鶏場で約1万羽を育てている。消毒液で防疫し、カーテンを閉めて野鳥の出入りを防いでいる。「山口県で発生した時は他人事と思っていた。鶏卵の取引も高値にならないうえ、こんな問題が起きて、一体どうなるのか……」と困惑していた。

 九重町農林課の男性職員は「私も最初にテレビで感染の疑いがあることを知った。詳しいことは、何がどうなっているのか全く分からない」と戸惑っていた。

 チャボの品評会などを開いている全日本チャボ保存協会は今月8日、愛好家が集まって鳥インフルエンザ対策について意見交換したばかりだった。

 同協会副会長の島村光男さん(65)は、「ほとんどの愛好家は普段からチャボを箱の中で飼っていて、外に出さないよう気を使っている」と話す。1羽5―10万円と高価なため、最近の鳥インフルエンザ騒動には、特に神経質になっているといい、島村さんも飼育箱に野鳥が近付かないよう網を補強した。

 島村さんは「いくら終息宣言が出されても、感染の危険性は常にある。普段から気を使うことが大切」と話す。

 チャボやウコッケイなどは、小学校や幼稚園などで飼育されているケースが多い。獣医師の中川美穂子さんは、「鳥を外に出さず、人間が小屋へ入る時は必ず靴底を消毒するなどして、鳥を外界に接触させないようにすれば大丈夫」とアドバイスする。

 厚生労働省結核感染症課は「現在のところ、鳥インフルエンザかどうか確定的な情報はない」としたうえで、「山口のケースで、日本の防疫態勢の有効性は証明済み。たとえ今回が鳥インフルエンザだとしても、きちんと感染防御すれば、人への感染はないだろう」と冷静な構え。同省では今後、大分県と協議し、この製材業者や家族らの健康状態の確認や感染防御の徹底を指導する。

(2004/2/17/14:09 読売新聞)


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