鳥大量死、1週間通報せず…業者の対応に政府が憤り

読売新聞WEB版
2004/02/27/14:28

 なぜ大量死が1週間も放置されたのか――。最終確認されれば、最近では国内3例目となる京都府丹波町の鳥インフルエンザ。匿名電話で発覚するという異常事態に「防疫措置の遅れは流行の拡大をもたらすばかりでなく、人への感染の可能性を高めてしまう」として、京都府や厚生労働省、農水省では憤りの声が相次いだ。

 京都府の青合(あおあい)幹夫・農林水産部長は27日午前の会見で「19日に(業者を)立ち入り検査した時には、鶏舎の担当者は『異状はない』と話していた」と明かし、1週間連絡がなかったことには「我々としては残念だ」とうつむいた。

 厚労省では鳥インフルエンザの疑いがある事例が発生した場合、地元の保健所を通じてただちに国に報告するよう各自治体に要請している。

 ところが、今回は業者側の協力がなかなか得られず、同省によると、地元の保健所では、27日朝の時点で、養鶏場の従業員名簿も入手できていない状況という。厚労省幹部は「ペットの感染報告があるのに、他の養鶏場に出ていないとは考えにくい。人間の安全を確保する上でも、情報隠しは許し難い」と話す。

 坂口厚労相は同日午前の閣議後の会見で「仮に鳥インフルエンザとすれば、全国的にインフルエンザウイルスが広がり、どこでも起こりうると考えなければならない」と話し、感染拡大への危機感をあらわにした。

 大量の鶏が死んだ浅田農産の浅田秀明社長は「死ぬ直前まで元気でえさを食べ、卵を産み続けていた。眠るように死んでいったので一体何なんだろうと思っていた。きょう、届け出るつもりだった」と話している。

 浅田農産のある兵庫県は午後、同農産に対し、家畜伝染予防法に基づく立ち入り検査を行う。

(2004/02/27/14:28 読売新聞)


もどる