出荷先で「陽性」…自治体困惑「恐れていたことが…」

読売新聞WEB版
2004/02/28/22:10

 鶏が1000羽単位で死んでいた京都府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」が出荷した鶏から28日、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出た。新たな現場・兵庫県八千代町の食鳥処理場は即日、立ち入りが制限された。「連絡の遅れが、こういう事態を招いた。非常に残念だ」と京都府の幹部。流通ルートに当たる他の自治体も「恐れていたことが起きた」と、広がる影響への対応に追われた。

 「陽性」の結果に、食鳥処理場の経営者は「(兵庫)県には、昨日から『早く来てくれ』と連絡していた。とばっちりとしかいいようがない」と憤りをあらわにした。

 一方、兵庫県の発表を受け、京都府の山田啓二知事は、丹波町の現場から急きょ府庁に戻った。同行した府幹部は「大量死の報告が遅れた間に感染が広がったとすれば残念」と、苦悩の表情。

 兵庫県の別の食鳥処理場の担当者も「処理場でも衛生管理に力を入れているが、出荷元がそんな鳥を持ち込んできたら、防ぎようがない。ほかの鳥への感染や従業員の安全を考えたら、同業者として憤りを感じる」と話した。

 ◆加工肉、廃棄処分へ…愛知の処理場◆

 船井農場から約5600羽の鶏が運び込まれた愛知県豊橋市の食鳥処理場でも、同市と愛知県、業者が検討した結果、冷凍保存されている加工後の鶏肉と、処理場で26、27の両日に処理した鶏肉の廃棄処分を決めた。

 この処理場では、25日に同農場から鶏が運び込まれた直後、すぐに食肉加工していた。同市保健所では、鶏に直接触れた従業員6人に鳥インフルエンザの簡易検査をし、また全従業員49人に健康状態の聞き取り調査を行ったが、全員異状はなかった。

 加工した鶏肉は出荷されておらず、そのまま保存されている。同保健所は「廃棄処分するので、そのまま包装を解かない方が安全だ」とし、ウイルス検査をしないことを決めた。

 また、山口県では28日午後、京都府から「発生農場の卵が出荷されている」という連絡が届いた。

 県によると、ファクスには出荷先の業者名、個数、出荷の日時が記されていたが、業者の連絡先は不明。

 担当職員の1人は「本当に県内の業者なのかも分からず、情報があやふやすぎて対応のしようがない」と困惑していた。

(2004/02/28/22:10 読売新聞)


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