大量死以降も「20万羽引き取って」 処理場幹部が証言

朝日新聞WEB版
2004/03/01/19:19

 京都府丹波町の「浅田農産船井農場」をめぐり、経営する浅田農産(本社・兵庫県姫路市)が、鳥インフルエンザによる大量死が始まっていた2月23日ごろ、「28日以降も(船井農場の)20万羽弱を引き取ってほしい」と、同県八千代町の食鳥処理場を営む「アリノベ」(本社・同県中町)に求めていたことが、同社の有延秀棋専務の話でわかった。20万羽は船井農場での飼育数にほぼ匹敵する。

 有延専務によると、今年1月ごろ、浅田農産からの打診を受け、2月25〜27日に食肉用の鶏を生きたままで入荷する予定を決めた。その後同23日ごろ、浅田農産から「卵の相場が安いので、船井農場を一時空けたい。28日以降も20万羽弱の追加出荷を頼む」などと伝えてきたという。その後の電話では「そんなにいないかも」と言われたという。

 アリノベは、船井農場から25日に約3200羽、26日に約6700羽を入荷した。しかし、25日は約130羽、26日は約300羽が入荷後すぐに死んだ。死んだ数が普段より多く、浅田農産に問い合わせたが、「担当者が間違って水をやらずに体力が落ちた」「腸炎のせい」などと説明を受けただけだったという。

 報道があった27日に初めて鳥インフルエンザとみられる大量死を知った有延専務は「養鶏場を空にすることはあるため、その時は信じた」と話している。

 県などの調査では、船井農場では10棟の鶏舎に約20万羽の鶏を飼育していたが、20日からは、死んだ鶏の数が前日までの10倍以上の1000羽台になった。26日には7000羽が死んだため、浅田農産側は27日朝に京都府に届け出るつもりにしていたといい、その前に匿名の電話で発覚した。

 浅田農産によると、同社は全国に六つの養鶏農場を持ち、計約170万羽前後を飼育しているという。

(2004/03/01/19:19 朝日新聞)


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