京都の養鶏場「獣医師診せた」はウソ?

読売新聞WEB版
2004/03/03/14:32

 京都府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」の鳥インフルエンザ問題で、農林水産省と府は3日、同農産の浅田秀明社長が鶏舎の異変に気付きながらも速やかな届け出を怠り、感染が拡大した可能性があるとみて、家畜伝染病予防法違反(届け出義務)での刑事告発に向け、浅田社長や関係者から事情を聞く方針を固めた。

 浅田社長が鶏の大量死が始まった後も府に届けなかった理由に挙げた「獣医師に診てもらい腸炎と診断された」との説明が事実と異なる可能性が出てきたためで、すでに浅田社長から事情を聞いた府警も告発に備え、情報収集を急ぐ。

 同法は、獣医師や家畜の所有者に対し、家畜が伝染病に感染しているか、その疑いを発見した場合は、遅滞なく知事に届け出ることを義務付けている。届け出は、獣医師が診た場合は獣医師が、獣医師が診断する前は所有者が行う。違反に対する罰則は獣医師の方が重いが、所有者も1年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されている。

 府のこれまでの調べによると、百羽前後だった鶏の死が2月20日に1000羽を超え、23日には2000羽、26日には7000羽に達した。この間、船井農場からの届け出はなく、府は26日夜、匿名電話で初めて大量死を知った。

 浅田社長はこれまで、府や記者団への説明で、「鳥インフルエンザとは思わなかった」「獣医師に診てもらい腸炎と診断された」と述べ、故意に届け出なかったわけではないとしている。

 しかし、記者会見では「インフルエンザであってほしくない、との希望的観測があった」と、感染の可能性を認識していたとも受け取れる発言をしている。

 また、農水省は3日、浅田社長の「獣医師発言」に関し、「(農場は)獣医師に診せていない」との見解を明らかにした。

 同省衛生管理課は「農場に専属の獣医師はおらず、社長は獣医師の資格を持っていない。腸炎を疑うのはおかしくないが、大量死しているのだから、獣医師を呼んできちんと調べるべきだった」としている。

 亀井農相は3日、船井農場の視察後、告発について「現実に業者の対応が遅かった。そのことを踏まえて対応したい」と述べた。

(2004/03/03/14:32 読売新聞)


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