浅田農産社長に逮捕状、感染の疑い認識

読売新聞WEB版
2004/03/31/13:58

 京都府丹波町の浅田農産船井農場の鳥インフルエンザ感染で、農水省と府は31日、浅田秀明社長(41)が鶏の大量死の始まった直後の2月22日に、感染の疑いを認識していたにもかかわらず、故意に府への届け出をしなかったとして、浅田社長と同社(兵庫県姫路市)を家畜伝染病予防法(届け出義務)違反の疑いで告発した。

 これを受け、府警は強制捜査に乗り出し、浅田社長と元役員、同農場の鶏舎長の計3人の逮捕状を取った。任意同行を求めるとともに、本社や同農場、浅田社長宅など関係先の捜索に着手、事件の全容解明を進める。

 府警などによると、元役員は兵庫、岡山を含めた3府県にある五つの養鶏場を巡回して鶏の健康状態を把握している。鶏舎長は船井農場の鶏舎責任者で、死んだ鶏の数などを毎日、本社に報告している。

 府警は、浅田社長や元役員ら会社側が早期に届け出なかったことについて、「会社を守りたい」などの故意性があったか、鶏舎長を含めた3人に共謀があったかなどを中心に事情聴取を進めるとみられる。

 府や府警によると、鶏舎長は2月17日、8号鶏舎で49羽が死んでいるのを知って、通常よりも数が多いと感じ、本社に連絡。

 元役員は直後に同農場に行き、死因を調べるなどしていたが、2日後の19日にあった府の立ち入り検査で同社側は「異常はない」と回答した。

 20日には同鶏舎で1043羽の大量死が始まり、浅田社長も22日から連日、同農場に行くなど大量死を不審に思いながらも、26日に府への匿名通報があるまで大量死は発覚せず、鳥インフルエンザ感染の確認が遅れた、との疑いが持たれている。

 府などのこれまでの調べに、浅田社長は「解剖して腸炎だと思った」と説明しているが、1月以降に山口、大分両県で発生して社会問題となっていた上、多くの従業員が「最初からインフルエンザを疑った」などと話していることから府は、浅田社長も感染を疑うことはできたと判断した。

 また、府警は、浅田社長が大量死の最中の2月25、26両日に食鳥処理会社のアリノベ八千代工場(兵庫県)に約9900羽を出荷し、さらに養鶏場のすべての鶏を引き取ってもらえないかと頼んでいることにも注目。感染を疑いながら依頼したのかどうかの解明を進める。

(2004/03/31/13:58 読売新聞)


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