再びウイルス侵入の恐れも 専門家ら警戒呼び掛け

共同通信社
2004/04/13

 京都府丹波町で鶏や卵の移動制限が解除され、国内での高病原性鳥インフルエンザ問題は一応の終息を迎えたが、田代真人(たしろ・まさと)国立感染症研究所部長は「アジア諸国では鳥インフルエンザの脅威は去っていない。人の動きなどに合わせ、いつでも再び入ってくる可能性がある」とし、引き続き警戒を呼び掛けている。

 伊藤寿啓(いとう・としひろ)鳥取大教授(獣医公衆衛生)も「感染のピークは去ったが、野鳥はまだウイルスを持っているはず」とし、野鳥対策の継続を訴える。

 高病原性インフルエンザは、韓国や中国、タイではなお家禽(かきん)への感染が続いている。16人の死者を出したベトナムは既に政府が安全宣言を行ったが、世界保健機関(WHO)は「病気がなくなったとは言えない」と、時期尚早との立場。田代部長も「流行が収まったのではなく、情報管制が敷かれ、状況が分からなくなっただけ」と懸念を示す。

 またインフルエンザウイルスは、低温で乾燥した気候で増殖すると考えがちだが、田代部長は「東南アジアのある地域では雨期にまん延する」と指摘。高温・多湿な夏に向かっても、ウイルスの活動が低下するとは限らないとした。

(2004/04/13 共同通信)


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