鳥インフルエンザ対策本部解散、卵出荷量低迷続く

読売新聞WEB版
2004/05/01/03:14

 京都府丹波町の鳥インフルエンザ問題で、同町が感染発覚以来設けていた対策本部が30日、解散した。町周辺では、府の「終息宣言」から半月以上過ぎた今も養鶏業者の多くがいったん失った卵の販路を取り戻せず、出荷量は以前の5―7割と低迷。「消費が持ち直さなければ廃業せざるを得ない」と前途を危ぶむ声も出ている。

 移動制限区域となった浅田農産船井農場の半径30キロ内には鶏50羽以上を飼育する業者が約70あり、1日50万個にのぼる卵が出荷できなかった。多くの農家はこれまで販売業者と直接取引してきたため、制限期間中に店側が仕入れ先を他府県に切り替えてしまったケースも相次いだ。

 約16万羽を飼う農場は家庭向けのパック詰め卵の出荷量が以前の7割しか戻らず、残りは食品メーカーなどに箱売りしている。場長(43)は「新鮮で安心できる品質なのに風評で失った信頼は大きい。全面回復には程遠い」とため息まじりに話す。

 1日に約30万個を生産する別の業者は、卵を産まなくなった鶏の入れ替え作業が遅れたうえ、出荷できない約10万個はタダ同然で問屋に“投げ売り”しており、「出荷停止の影響は計り知れない。今後1年間は損失が膨らむ覚悟」。

 府養鶏協議会の幹部は「経営を軌道に戻すには新たな販路を開拓するしかないが、生産過剰気味の業界では容易ではない。消費を底上げするよう業界あげて取り組まなければ」と話す。  出荷できず焼却処分される卵は約2000万個にのぼり、処分は5月中旬まで続く見込み。農家に対する損失補償は2億円を超える。

(2004/05/01/03:14 読売新聞)


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