スズメが侵入・感染の可能性…京都の鳥インフルエンザ

読売新聞WEB版
2004/06/09/15:30

 京都府丹波町の浅田農産船井農場で発生した鳥インフルエンザ感染は、鶏舎の通気口近くから広がっていたことが9日、府専門家会議委員の大槻公一・鳥取大教授(獣医微生物学)らの調査でわかった。

 金網で覆われた通気口は、小型の鳥しか侵入できず、感染後に鶏舎内でスズメが目撃されていたことから、大槻教授は「小型の野鳥に絞った調査がさらに必要」と指摘、スズメなどの小型の野鳥がウイルスを媒介した疑いが浮上してきた。

 専門家会議は京都府の依頼で、発生直後から8人のメンバーが原因調査や対応策に当たっている。

 大槻教授らは感染公表から4日後の3月2日に船井農場を視察。鶏の大量死が始まり、全滅状態になった8号鶏舎では、通気口の真下に位置する中央列の数か所のケージだけ鶏がいなくなっていた。京都府警に確認すると、従業員らが「先に死んだ鳥から処分のために運び出した」と説明していたことがわかった。

 通気口は屋根の頂に塔屋(長さ約100メートル、高さ約1メートル)状に設けられ、金網を張っている。金網は約5センチ四方の格子状で、農場周辺で感染死していたカラスなど大型の鳥は通り抜けられないが、スズメなどの小型の鳥なら可能といい、スズメが鶏舎内に入っていたのを環境省の調査員が目撃したという。環境省が周辺で行った野鳥捕獲調査ではすべて陰性だったが、鳥インフルエンザが発生した山口県阿東町の養鶏場でもスズメが鶏舎内に入り、鶏との接触が確認されている。

 大槻教授は「船井農場では、小型の野鳥から鶏に感染し、さらに鶏を処分した従業員を介してウイルスが他の鶏舎に広がったのではないか」と推測する。

 今回の感染では、昨年12月から爆発的に流行した韓国から伝わったとする見方が有力。大槻教授は「スズメのような、渡り鳥ではない鳥でも大陸からの季節風に乗って日本に来る可能性は十分にある。韓国と共同でスズメの生態調査やウイルスの遺伝子検査を進めるべきだ」としている。

(2004/6/9/15:30 読売新聞)


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