ワクチン200万人分保管 買い占め防止で病院公表も
   今秋からの流行に向け インフルエンザで厚労省

共同通信
2004/07/01

 医療機関の買い占めによるインフルエンザワクチンの不足を防ぐため、厚生労働省は30日、製造業者などに大人200万人分の保管を求めたり、大量に返品した病院名の公表を検討したりするなどの対策を決めた。

 昨年秋から今年春にかけたインフルエンザのシーズンに各地で品不足が起き、接種を受けられない人が続出した一方、最終的に約36万人分の未使用が出たことを受けた措置。7月中にも都道府県や日本医師会、病院などに通知し、今年秋からの流行期に備える。

 インフルエンザワクチンは使用しなかった場合、返品できる。このため、医療機関が需要を過大に見込んで買い占め、地域によって品不足になる問題があった。

 同日の厚労省検討会でまとめた対策によると、都道府県に対策委員会を設置。委員会は、接種した人の数や病院、卸売業者の在庫を把握し、調整する。ワクチンを接種する中心医療機関をあらかじめ決め、不足した場合に優先供給するなどの準備にも当たる。

 製造業者などには、協力して大人200万人分に当たる計100万本のワクチンを保管するよう要請。医療機関から、前年の使用実績を3割以上超える過剰な注文があった場合、これをできるだけ避けるよう指示した。

 ワクチンの有効利用のため、医療機関には、10度以下での保存など品質確保の徹底も求めた。

 検討会は、医療機関などの調査をもとに、今冬のワクチン需要を約1700万?1900万本と予測。製造業者は約1996万本の製造を予定しているため、需要を賄うことは可能という。ただ、新型肺炎(SARS)や鳥インフルエンザの国内患者が発生した場合は、これを上回る需要があると予測している。

(2004/07/01 共同通信)


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