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内科学第一教室は1978年開講の伝統ある教室で、初代教授高木良三郎先生(大分医科大学元学長)、二代目教授坂田利家先生(大分医科大学名誉教授)の後任として、平成14年に私が教授に就任いたしました。専門領域については、内分泌疾患、心身症、糖尿病・代謝疾患、循環器疾患、腎疾患、消化器・肝臓疾患、膠原病疾患などの診療・研究を押し進めています。毎年、教室に若い先生方を迎えることができて、現在では教室員147名、同門会員95名、関連病院104という大きな教室へと発展してまいりました。当教室は現在まで私も含めて10人の教授を輩出しています。新しいところでは、大分医大卒業生で第1内科出身の安部まゆみ先生が、やはり第1内科出身である東北大学教授の佐藤靖史先生のもとで研究に従事されていましたが、平成17年に東京医科歯科大学の教授に就任されました。
私共の教室の特徴の一つとして診療グループ間の連携があげられます。特に生活習慣病については、肥満症や糖尿病における患者教育といった予防医学的アプローチにはじまり、それらの合併症ともいうべき虚血性心疾患のインターベンション、あるいは腎不全に対する透析治療など、重篤化した疾患に対する治療まで、我々の教室の医療スタッフが診療にあたります。生活習慣病に対する包括的医療が同じ教室の医療スタッフの連携のもとにチーム医療として行なわれているわけです。これらは、患者さんに対する全人的医療の推進に貢献するとともに、教室員や研修医の臨床教育、医療技術の修得、専門領域を越えた幅広い診療レベルの向上などに大きく役立ってきたと考えています。大分大学医学部附属病院では平成17年から臓器別診療が開始され、それにともない、内分泌・糖尿病内科、腎臓内科、膠原病内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、血液内科、神経内科の8つの診療科体制が組織されました。付属病院においては、私は内分泌・糖尿病内科、腎臓内科、膠原病内科の診療科長を担当し、腎臓内科については第2内科教室の腎臓グループと連携して診療科を運営しています。同様に、循環器内科は中央検査部、第1、第2内科、消化器内科は総合診部、第1、第2、第3内科の連携で運営されています。少々複雑な話しになりましたが、臓器別診療は大学の付属病院内におけるグループ化であります。第1内科の循環器グループと消化器グループがなくなったわけではありません。すなわち、第1内科の循環器グループと消化器グループの諸君は付属病院では循環器内科および消化器内科に属していますが、大学における研究・教育体制、地域医療や関連病院との連携などについては従来どおり第1内科教室の教室員として活躍しているわけです。これは糖尿病など他のグループについても同様です。したがって臓器別医療の開始後もグループの壁を越えた連携体制は維持されており、診療および研究に大きく貢献しています。したがって循環器や消化器領域での後期研修や専門医の取得を計画されている研修医や若手医師の方々が第1内科を選択されても今までと同様に充実した専門医の修練が可能であります。現在は医師の地域別あるいは診療科別の偏在もあり、過度に特化した臓器別医療ではなく専門性の壁を越えた統合医療、総合内科の重要性が叫ばれています。その意味でも専門性を有した上で、各診療科が同じ教室内でゆるやかに連携している第1内科方式は、これからの大学医学部内科教室のあるべき姿だと考えています。
私どもの教室のもう一つの特徴は研究に対する情熱と充実です。最近では学位より専門医の取得が重視される傾向があるようです。その善し悪しを論ずるつもりはありませんが、一つだけ申し上げたいことは、研究は何も学位のためだけにやるものではないということです。研究や論文作成の過程で経験する苦労や充実感、なによりそれらを通じて取得したものの考え方は研究者としてだけでなく、臨床医としての医師の成長に大きく貢献するものです。患者さんを診察し診断にたどりつき、その病態生理を把握し治療にいたるその過程において、サイエンチストとしての深い洞察力、冷静な判断力、論理的思考といった要素が必要なのです。私は研究生活はより良い臨床医をつくるための必須の条件とも考えています。このような考え方から当教室では卒後2-3年の若手医師に、積極的に大学院生あるいは研究生として臨床および基礎研究へ従事することを勧めています。中には「自分は研究には向いていない」と決めつけていた教室員が素晴らしい研究成果を見出し、自分の隠れた才能を再発見することもあります。その意味でも、教室員がある時期に公平に研究に従事できるよう、時間と環境を設定することも教授としての私の役割と考えています。最近では、教室としての研究への取り組み方、教室員の努力もあって研究の内容および量ともに年々発展してきています。Nature medicineをはじめとして、Diabetes、Hepatology、FASEB Jなどといった評価の高い雑誌にも研究成果が認められようになりました。特に内分泌・糖尿病・代謝研究室で行われている脳、視床下部をターゲットとした研究テクニックは世界的にもオリジナリティーの高いものと自負しております。これまでも東大、九大、長大などの若い先生方がその技術修得のために教室にこられました。また我々の教室から留学される先生も多く、米国などへの海外留学をはじめとして、国内においても他大学はもちろん、岡崎生理学研究所や理化学研究所など他研究施設との人事交流や共同研究を盛んに行っています。
平成16年度から開始されました卒後臨床研修により、当教室においても多くの研修医の先生を対象に内科研修を行っています。また、卒後臨床研修終了後の先生方を対象とした、より専門的な内科診療の研修の場として後期臨床研修の充実も図っています。充実した研修ができるためにはまず第一に良き指導医に恵まれることが大切です。当教室は開学以来の幅広い研修環境と、丁寧で人間味のあふれた指導医師を多くかかえていることが誇りであります。また、大学病院の使命である基礎医学から臨床に直結した研究までこれまでも多くの実績をあげ、医学の進歩に寄与しています。当教室において、若い先生方が充実した研修を受け、人間味あふれる良き医師になり、さらには医学の進歩と、医療を通じ地域に貢献できることを心から望んでいます。
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