私たち小児科医は未来を担う子どもたちの健康を支えるという重要な役割を果たしており、その高い使命感に動かされ日々の診療と研究に邁進しています。小児医療・小児医学は診断法、治療法、予防法、小児保健体制など、多岐にわたり高度化かつ細分化しており、必要とされる小児科医の役割は日々増加の一途をたどっています。そして病気の重症度に関わらず小児科専門医による専門的な診療を受けたいという社会要請も高まっています。
平成30年度から日本専門医機構と学会が連携した新しい「専門医研修制度」が始まりました。大分大学小児科(専攻医)プログラムは、日本専門医機構と日本小児科学会の承認を受けています。小児科専門医を目指す専攻医は、各々の基幹施設が策定した教育プログラムに則り3年間の教育期間内で複数の病院をローテーションしながら小児医療の基本的技術と幅広い専門知識と経験を身に付けます。日本小児科学会小児科専門医を取得した後は、さらに小児神経科や小児内分泌などのサブスペシャリティー分野を選択し、専門領域のエキスパートを目指して研修と研究を続けています。
大分大学医学部は昭和51年に大分医科大学として開学し、平成15年10月に大分大学との合併により大分大学医学部となった新しい大学です。全国的に有名な湯布院がある由布市に位置し自然に囲まれた美しいキャンパスであり、また大分市の西に位置し市街地にも近い学園都市です。大分大学医学部小児科学講座では、小児期の幅広い専門領域(神経疾患、血液・腫瘍性疾患、内分泌疾患・先天代謝異常症、アレルギー・免疫性疾患、感染症、循環器疾患、腎臓疾患、未熟児・新生児疾患など)に関する臨床研究ならびに病因と病態に関わる基礎研究を行っています。また大分市内の大分県立病院、大分市医師会立アルメイダ病院、大分こども病院、別府市内の鶴見病院、西別府病院、別府発達医療センター、別府医療センター、そして平成29年度からは中津市民病院も加わり、大分県内の各地域の病院小児科と連携した地域貢献を担っています。
教育機関として大分大学医学部の役割は、大分そして日本の小児医療を担う人材の育成です。患者さんとご家族と共に病気に向き合い共に戦う、勤勉で人間性豊かな小児科医を輩出する責務があります。大分大学医学部出身者が大分の小児医療を担い続けるために、長期的な展望を見据えた医学教育に取り組んでいます。
「子どもたちの将来ために、自分で考えて行動できる個性豊かな人」に私たちの仲間に加わって欲しいと思います。自立した社会人であり、医療者であり、教育者であり、科学者であってほしいと思います。
私たちは、各々が理想像に向かって努力する姿勢を全力でサポートします。目標達成のために必要な環境を可能な限り提供します。
平成30年度から始まった新修制度による「小児科専門医研修」に私たちは最も精力を注いでいます。一人一人へのきめ細かい教育システムが大分大学医学部小児科学講座の最大の特徴であり、若手の専門研修医には救急医療から在宅医療まで、小児科専門領域すべてにおいて最良・最新の小児科学を習得してもらいます。研修医ひとりひとりに指導医を配置し個別の到達レベルに目を配りながら研修指導を行っています。
また3年間で最低1報の英文論文(症例報告)を研修自身が作成することも大学病院としての教育の特徴です。3年間の研修後の日本小児科学会の小児科専門医認定試験に専攻医全員が一発合格することを確約します。
修了後は高度専門小児医学を身につけるための国内留学、基礎研究のための大学院進学、海外の小児病院や大学・研究所への留学など、各自のキャリアアップに合わせた環境を提供します。
専門診療や地域貢献のみならず基礎研究にも精通した小児科医を育成し、大分から世界に羽ばたく小児科医・研究者を輩出することが大分大学医学部小児科学講座の目標です。