大分大学医学部小児科学講座

新生児

グループ紹介

臨床

新生児集中治療室(NICU)での入院治療と、退院後の外来治療、発達観察を行なっています。大分県で周産期医療施設に入院する新生児は年間約900人で、大学病院にはその約15%の120人程度と少ないですが、重症例が多いです。疾患としては早産、低出生体重児に加えて新生児神経疾患、先天代謝異常、母体合併症妊娠例が多い特徴があります。

県内の周産期医療体制は、総合周産期母子医療センターである大分県立病院を中核とし、新生児集中治療室(NICU)を持っている大分大学病院、別府医療センター、中津市民病院が連携して治療にあたっています。

教育

大分県内の新生児医療施設と連携し、学生教育、研修医研修プログラムを組んでいます。
県内出生の重症新生児は必ずいずれかの施設に入院しますので、多種多様な新生児疾患を経験することができます。
後期研修期間で小児科医として求められる新生児医療の研修を行うことができます。

大学内では、産科とのカンファレンス(週1回)の他、新生児蘇生法講習会などを通して、周産期医療の質の向上に努めています。
周産期新生児医学会の新生児専門医制度において、大学病院は指定認定施設に指定されており、サブスペシャリティとして新生児専門医の取得するための研修を行うことができます。すでに5名を超える専門医取得実績があります。
専門期間の一部は、基幹認定施設(大分県立病院や、全国の特徴のある周産期施設)で研修を行います。

研究

General movements (GMs)の臨床応用に向けた研究

PrechtlのGeneral Movements(GMs)評価法は、脳性麻痺の予測に有用な評価法です。NICU入院中の早産期の自発運動を詳細に解析し、中枢神経機能評価としての利用や、脳性麻痺以外の発達障害知的障害の予見、さらには児の発達促進ケアや療育介入への応用を目指した臨床研究を行っています。当科は、本邦では数少ない国際GMs評価講習会advanced courseの修了評価者と複数のbasic course終了評価者が在籍しています。全国GMs研究会を主宰し、GMs判定演習用DVDとして全国の評価者へ配布するとともに、現在は多施設と連携した臨床研究が進行中です。グループメンバーは研究の成果を学会発表し、原著論文として発表する機会を定期的に得ることができます。

新生児期・小児期発症の稀少遺伝性疾患の病態メカニズム解析

ゲノム編集技術によりヒト遺伝性疾患モデル動物を作製し、新生児期や小児期に発症する様々な希少遺伝性疾患の病態解明を目的に研究を行っています。特に、大分大学細胞生物学講座や神経生理学講座と連携し、患者さんに同定された新規遺伝子変異を導入した遺伝子改変モデル動物(ゼブラフィッシュ、マウスなど)を用いて病態分子メカニズム解析を進めています。

Multiplex real-time PCRを用いた新生児感染症の研究

Multiplex real-time PCRを用いて新生児感染症の臨床的特徴を解析し、早期診断・治療に向けた研究を行っています。特に、一般的な検査では同定困難な病原体についての研究を進め、臨床診療への応用に向けた取り組みを加速させていきます。

代謝物の網羅的解析による新生児の新たな発育発達バイオマーカー探索

先行研究(マウス肝臓オートファジーの役割に関する基礎医学的研究)で培った血清代謝物の網羅的解析技術を駆使し、ヒト新生児の新たな発育発達バイオマーカー探索を目標とした研究に取り組んでいます。

求められていること、今後のミッション

大分県の周産期医療体制を支える人材を養成し、日々進歩する標準的な新生児医療水準を維持すること。教育も研究もできる新生児グループであること。たとえば、新生児の行動、発達評価を通じて、NICUにおける至適な成育を達成するための最新の知見を発信することが我々に求められていることと考えています。

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