子宮体部原発神経内分泌腫瘍に対する治療法・予後についての後方視的研究
我が国における子宮体部原発神経内分泌腫瘍に対する治療法の実態、予後について調査研究(retrospective chart review)を行い、標準治療確立のための知見を得るのが目的です。
1995年1月1日から2014年12月31日までの20年間に、子宮体部起源の神経内分泌腫瘍(カルチノイド、小細胞癌、大細胞癌)と組織診断を受けた患者さん。ただし、臨床病理学的情報が不十分な方、重複癌の方は除外されます。
神経内分泌腫瘍は女性生殖器にも発症するが、非常にまれであり、全婦人科癌の2%を占めるに過ぎません。子宮体部原発神経内分泌腫瘍には小細胞癌、大細胞癌、カルチノイドがあります。
子宮体部原発小細胞癌
女性生殖器に発生する原発性小細胞癌の多くは子宮頸部に発症し、子宮体部は発生頻度が最も少ないとされます。子宮体癌全体の1%未満と考えられており、およそ90症例の報告があるのみです。しばしば進行癌の状態で発見され、予後はきわめて不良です。また、治療法も確立されていません。
子宮体部原発大細胞癌、カルチノイド
子宮体部に発生する大細胞癌、カルチノイドは更にまれで、病態や治療法、予後に関する情報はきわめて不足しています。
以上より今後、子宮体部原発神経内分泌腫瘍を他の子宮体癌と個別化し、より効果的な治療法を検討したり、患者さんへのinformed consentに必要な情報を得るための基盤として、本邦における子宮体部原発神経内分泌腫瘍の治療実績や予後、病態に関して多施設で症例を集積することは意義のある研究と思われます。
癌組織を調べた結果と診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さまの診療記録(カルテやレントゲン写真など)を調べさせていただきます。なお患者さまの癌組織(試料)及び診療記録(カルテ)を使用させていただくことは、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認された後に行います。また、患者さまの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さまのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
本研究を実施するに当たって、患者さまの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来新規薬物などの開発につながり、利益が生まれる可能性があります。しかし、万が一、利益が生まれた場合でも、患者さまには金銭、特許などを請求することはできません。
本研究においては、公的な資金である産科婦人科学講座の寄付金を用いて研究が行われ、患者さんの費用負担はありません。
本研究は、上記の公的な資金を用いて行われ、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは、研究成果に影響するような利害関係を指し、金銭および個人の関係を含みますが、本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。
本研究にご自身の記録を使用してほしくない方は、遠慮なくお知らせ下さい。すみやかに研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さまの不利益になることは一切ありません。
なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合でも、すでに発表した論文は取り下げません。ご自身の診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の研究責任者までお申し出下さい。
879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部産科婦人科学講座/附属病院 産婦人科 助教 松本 治伸
電話番号 097-549-4411