臨床研究の情報公開

本院で下部消化管内視鏡検査を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
 ~2006年8月~2018年7月に下部消化管内視鏡検査を受けられた方の臨床情報を医学研究へ使用させていただくためのお願い~

当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、通常の診療で得られた過去の記録を用います。このような研究は厚生労働省の定めた「臨床研究の関する倫理指針」の規定により、研究内容の情報を公開することが必要とされております。この研究に関する問い合わせ等がありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。

【研究課題名】

Helicobacter pylori 感染と大腸腫瘍発生リスクに関する症例対照研究

【研究の対象】

この研究は以下の方を研究対象としています.
2006年8月~2018年7月に本院で下部消化管内視鏡検査を受けられた方

【研究の目的・方法について】

ピロリ菌( Helicobacter pylori )はヒトの胃に幼少時より持続的に感染する細菌で,世界人口の約60%が感染しているといわれています.ピロリ菌感染は萎縮性胃炎という胃の粘膜が薄くなってしまうタイプの胃炎を引き起こし,胃癌の発生リスクになることが知られています.また,ピロリ菌感染は萎縮性胃炎や胃癌だけでなく,特発性血小板減少性紫斑病(血液を固まらせる血小板という成分が減少して皮疹が出現する疾患)など胃以外の臓器疾患の原因となることも知られています.一方,日本では食生活の欧米化を背景に,大腸癌の罹患率が上昇しており,国立がん研究センターの統計では2013年の部位別がん罹患率で男性3位,女性2位を占めています.近年,ピロリ菌感染が大腸腫瘍(良性腫瘍や癌)発生のリスクになる可能性を指摘する報告が散見されますが,一方で関連はなかった,との報告もありその見解は一致していません.ピロリ菌感染が大腸腫瘍発生のリスクになるという研究結果が蓄積されれば,ピロリ菌感染がある方へ大腸癌スクリーニング検査を推奨することができ,大腸癌の早期発見と死亡リスク低下に寄与できると思われます.
 本研究では,ピロリ菌感染と大腸腫瘍(良性腫瘍と癌)発生リスクの関係を明らかにすることを目的としています.
 本研究では上記研究対象の方の性別やご年齢,検査データなどの診療情報を統計学的に解析することによって,ピロリ菌感染と大腸腫瘍発生リスクの関係を検討させていただきます.

研究期間:2018年9月14日~2023年8月31日

【使用させていただく情報について】

本研究では上記のように,研究対象の方の性別やご年齢,血液検査結果,内視鏡検査所見等の診療情報を診療記録(カルテ)より抽出して使用させていただきます.それらのデータを統計学的に解析して結論を導く計画です.患者さんの診療情報を使用させていただくことに関しては,本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認され,大分大学医学部長の許可を得ています.また,患者さんの試料および診療情報は,国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い,匿名化したうえで管理しますので,患者さんのプライバシーは厳密に守られます.当然のことながら,個人情報保護法などの法律を遵守いたします.

【使用させていただく情報の保存等について】

本研究で収集した診療情報はこの研究の論文発表後10年間の保存を基本としており,保存期間終了後はシュレッダーにて廃棄したり,パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します.ただし,研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただき,再度,倫理審査を受審した上で研究に利用させていただきます.

【外部への情報の提供】

本研究で使用した試料や情報を他の機関へ提供することはありません。

【研究組織】

【本学(若しくは本院)における研究組織】
           所属・職名             氏名
研究責任者 大分大学医学部消化器内科学講座       教授     村上 和成
研究分担者 大分大学福祉健康科学部           教授    兒玉 雅明
研究分担者 大分大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 准教授   水上 一弘
研究分担者 大分大学医学部消化器内科学講座       講師   沖本 忠義
研究分担者 大分大学医学部附属病院消化器内科      助教    小川 竜
研究分担者 大分大学医学部消化器内科学講座       助教    岡本 和久
研究分担者 大分大学医学部附属病院高度救命救急センター 病院特任助教 松成 修
研究分担者 大分大学医学部附属病院内視鏡診療部     病院特任助教 福田 健介
研究分担者 大分大学医学部附属病院消化器内科      医員     川原 義成

【患者さんの費用負担等について】

本研究を実施するに当たって,患者さんの費用負担はありません.また,本研究の成果が将来薬物などの開発につながり,利益が生まれる可能性がありますが,万一,利益が生まれた場合,患者さんはそれを請求することはできません.

【研究資金】

本研究は,公的な資金である大分大学医学部消化器内科学講座の基盤研究経費ならびに寄付金を用いて実施します.そのため,患者さんの費用負担はありません.

【本研究に係る利益相反について】

 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません.「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません.

【研究の参加等について】

本研究へ診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です.従いまして,本研究に診療情報を使用してほしくない場合は,遠慮なくお知らせ下さい.その場合は,患者さんの診療情報は研究対象から除外いたします.また,ご協力いただけない場合でも,患者さんの不利益になることは一切ありません.なお,これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが,発表後に参加拒否を表明された場合,すでに発表した論文を取り下げることはいたしません.
患者さんの診療情報を使用してほしくない場合,その他,本研究に関して質問などがありましたら,主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい.

【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい.ご希望があれば,他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で,研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい.

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
  電 話:097-549-4411
 担当者:大分大学医学部消化器内科学講座 
教授 村上 和成(むらかみ かずなり):研究責任者