臨床研究の情報公開

本院で下部消化管内視鏡検査を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~治療中の臨床データの医学研究への使用のお願い~


当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、別の研究で得られた過去の記録を用います。このような研究は厚生労働省の定めた「臨床研究の関する倫理指針」の規定により、研究内容の情報を公開することが必要とされております。この研究に関する問い合わせ等がありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。

【研究課題名】

生活習慣病と大腸腫瘍発生リスクに関する症例対照研究

【研究の対象】

2006年8月~2018年7月に本院で下部消化管内視鏡検査を受けられた方

【研究の目的・方法について】

日本では食生活の欧米化を背景に大腸癌の罹患率は上昇しており,国立がん研究センターの統計では2017年の部位別がん罹患率で男性3位,女性2位を占めています.消化器内視鏡検査を行う消化器病の日常診療では大腸ポリープが頻繁に発見されます.その多くは良性腫瘍ですが,癌化のリスクがあることも分かっています.大腸癌への罹患を減らすためには大腸内視鏡検査やCTコロノグラフィーと呼ばれる検査で大腸ポリープを発見することが大事ですが,患者さんの身体的負担や医療費の問題があり,検査の適応を議論する必要があります.大腸ポリープの発生に大きく関わる因子に対する共通の認識が得られれば,該当する因子を持っている方に大腸スクリーニング検査を推奨することができ,大腸癌の早期発見および罹患予防に貢献できると考えています.したがって,大腸ポリープ発生に大きく関わる因子を選び出すことと,多くの方を対象とした臨床研究による結果を蓄積することが極めて大事と考えます.
近年,大腸癌と糖尿病,肥満症,高血圧症など生活習慣に深く関わる疾患群との関連を示した研究が多く報告されています.一方,私たちの研究グループでは先行研究でピロリ菌感染に起因した胃粘膜の萎縮(粘膜が薄くなってしまうことを意味します)が大腸ポリープの発生に大きく関わる因子であることを明らかにしました.この研究では生活習慣に関わる因子も解析に含まれていますが,それらと大腸ポリープ発生との関連に焦点を当てた解析や考察はしていません.したがって,この研究では生活習慣病と大腸ポリープ発生リスクとの関連を検討することを目的としています.具体的には上記「研究の対象」に該当する方の性別,ご年齢,BMI(Body Mass Index:ボディ・マス・インデックス),血液検査データ(HbA1c,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪),血圧,生活習慣の情報(飲酒習慣と喫煙習慣),大腸内視鏡検査所見を電子カルテより収集し,統計解析を行います.そして,どの因子がどれだけ大腸ポリープ発生に関係しているのかを統計学的に計算して明らかにします.得られた結論は当院を受診された方のみに関する研究結果ではありますが,医学研究の成果として蓄積され,今後の診療に活かされる可能性があります.

研究期間:2020年11月10日~2025年8月31日

【使用させていただく情報について】

本研究では上記のように,研究対象の方の性別,ご年齢,BMI(Body Mass Index),血液検査データ(HbA1c,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪),血圧,生活習慣の情報(飲酒習慣と喫煙習慣),大腸内視鏡検査所見を診療記録(カルテ)より抽出して使用させていただきます.それらのデータを統計学的に解析して結論を導く計画です.患者さんの診療情報を使用させていただくことに関しては,本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認され,大分大学医学部長の許可を得ています.また,患者さんの診療情報は,国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い,匿名化したうえで管理しますので,患者さんのプライバシーは厳密に守られます.当然のことながら,個人情報保護法などの法律を遵守いたします.

【使用させていただく情報の保存等について】

本研究で収集した診療情報はこの研究の論文発表後10年間の保存を基本としており,保存期間終了後はシュレッダーにて廃棄し,パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します.ただし,研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただき,再度,倫理審査を受審した上で研究に利用させていただきます.

【外部への情報の提供】

本研究で使用した情報を、他の機関に提供することはありません。

【研究組織】

              所属・職名               氏名
研究責任者 大分大学医学部消化器内科学講座       教授     村上 和成
研究分担者 大分大学福祉健康科学部            教授    兒玉 雅明
研究分担者 大分大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 准教授   水上 一弘
研究分担者 大分大学医学部消化器内科学講座        講師   沖本 忠義
研究分担者 大分大学医学部附属病院消化器内科      助教    小川 竜
研究分担者 大分大学医学部消化器内科学講座        助教    岡本 和久
研究分担者 大分大学医学部附属病院高度救命救急センター 助教      松成 修
研究分担者 大分大学医学部附属病院内視鏡診療部     病院特任助教 福田 健介
研究分担者 大分大学医学部附属病院消化器内科       病院特任助教 都甲 和美
研究分担者 大分大学医学部消化器内科学講座       客員研究員 川原 義成




【患者さんの費用負担等について】

本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来薬物などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

【研究資金】

 本研究においては,公的な資金で大分大学医学部消化器内科学講座の寄付金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

【本研究に係る利益相反について】

 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

【研究の参加等について】

本研究へ参加するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に臨床データを使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの臨床データは研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。患者さんの臨床データを使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の研究責任者までお申し出下さい。

【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
  電 話:097-549-4411
 担当者:大分大学医学部消化器内科学講座 
客員研究員 川原 義成(かわはら よしなり)