1.研究目標
(1)医師や看護者等の対人専門職のストレス、バーンアウト症候群、およびその心理社会的サポート
の問題を研究し、その成果を心理学教育や医療者教育などに活用・還元する。
(2)患者の不安・ストレス、サポート・ニーズの実態を調査し、患者サポートの方法、患者と医療者
の人間関係やコミュニケーションの問題を研究する。さらに、その成果を心理学教育や医療者教育
などに活用・還元する。
(3)思春期の子どものストレスや不適応行動の実態を調査し、その方策としてのスクールカウンセリ
ング、ストレスマネジメントに関する実践研究と提言を行う。
2.現状の点検
(1)代表的原著論文10編
山本義史, 上野徳美: 看護者の職業ストレッサー評価およびストレス反応に及ぼすソーシャル・サポートと職場の人間関係の影響, 日本文理大学紀要, 25(1), 322-329, 1997
上野徳美: 社会心理学とIVR−チーム医療とストレス−, 日本血管造影・IV学会誌, 12(3), 37-42, 1997
古城和敬, 上野徳美, 高山智行, 山本義史編著: あなたのこころを科学するVer.2, 全257頁, 北大路書房, 京都, 1997
上野徳美, 林 智一, 山本義史: 老人保健施設における高齢者への対人援助モデル作成に関する臨床社会心理学的研究, 豊かな高齢社会の探究, 6, 82-109, 1998
上野徳美, 古城和敬, 山本義史, 林 智一: ナースをサポートする―ケアのための心理学―, 全250頁, 北大路書房, 京都, 1999
上野徳美: ストレスとサポート, 社会心理学―対人行動の理解―(原田純治編著), 125-146, ブレーン出版, 東京, 1999
藤富 豊, 藤吉健児, 河野佳子, 山本義史, 林 智一, 上野徳美: 乳癌患者夫婦への教育的介入の試み, 緩和医療学, 2(2), 205-210, 2000
上野徳美, 山本義史, 林 智一, 田中宏二: 看護者がサイコロジストに期待するサポートに関する研究, 健康心理学研究, 13(1), 31-39, 2000
(2)講座で出版した原著論文数とインパクトファクター合計
平成 9年度(4,0)
平成10年度(2,0)
平成11年度(2,0)
平成12年度(2,0)
*社会心理学、心理学系ではインパクトファクターは存在しない。
(3)科学研究費補助金及び民間公募制による研究補助金等の獲得状況
平成7〜9年度
科学研究費補助金・基盤研究(B) 研究代表者 田中宏二
「健康防御への社会的支援介入法の適用に関する総合研究」
平成7〜9年度
ユニベール財団研究助成 研究代表者 上野徳美
「老人保健施設における高齢者への対人援助モデル作成に関する臨床社会心理学的研究」
3.現状の評価
上記目標は概ね達成されている。ただし、本学科目はスタッフが本人1名のみであり、研究成果の量的な面では自ずと限界を有する。研究分野が人文社会科学領域であるため、1つの研究論文や著書をまとめあげるのに多大の時間とエネルギーを要することや、研究発表の場も限られているという事情を踏まえて評価する必要があろう。
4.将来の改善改革に向けた方策
現在、本学科目は倫理学、心理学とともに学科目を統合再編し、医学科に『医療人間科学系』という新講座を創設するよう計画しているところである(平成14年度概算要求で要望)。この改革案が実現すれば、教育面だけでなく、研究面でも密接な連携をとることが可能となり、現在の研究に加えて学際的な共同研究も期待できる。また、医学系の関連講座との連携、共同研究も行いたいと考えている。
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