1.研究目標
(1)狂犬病ウイルス遺伝子組換えによる経口ワクチンへの応用
(2)ヘルペスBウイルスの診断法の確立及びワクチンの開発
(3)オーエスキー病ウイルスをモデルとしたヘルペスウイルスの潜伏感染ー再活性化機構の解明
2.現状の点検
(1)代表原著論文10編
Tanaka S, Imamura T, Sakaguchi M, Mannen K : Acetylcholine reactivates latent pseudorabies virus in mice, Journal of Virological Methods, 70, 103-106, 1998
(IF:1.417)
Ishii S, Kase R, Sakuraba H, Taya C, Yonekawa H, Okumiya T, Matsuda Y, Mannen K, Takeshita M, Suzuki Y : α-Galactosidase transgenic mouse: heterogeneous gene expression and posttranslational glycosylation in tissues, Glycoconjugate Journal, 15, 591-594, 1998
(IF:1.867)
Gondo N, Ono K, Mannen K, Yatani A, Green SA, Arita M : Four conductance levels of cloned cardiac L-type Ca2+ channel α1 and α1/β subunits, FEBS Letters, 423, 86-92, 1998
(IF:3.720)
Sato H, Arikawa J, Furuya M, Kitoh J, Mannen K, Nishimune Y, Ohsawa K, Serikawa T, Shibahara T, Watanabe Y, Yagami K, Yamamoto H, Yoshikawa Y : Prevalence of Herpes B virus antibody in nonhuman primates reared at the national university of Japan, Experimental Animal 47(3):199-202, 1998
(IF:0.520)
(2)講座で出版した原著論文数とインパクトファクター合計
平成 9年度(0,0)
平成10年度(4,7.524)
平成11年度(0,0)
平成12年度(0,0)
(3)科学研究費補助金および民間の公募制による研究補助金等の獲得状況
期間:平成9年度(分担)
研究代表者:佐藤浩(長崎大学医学部助教授)
課題:サルヘルペスウイルスBの検査法並びに診断法の確立に関する研究
期間:平成12年度〜14年度(分担)
研究代表者:佐藤浩(長崎大学教授)
課題:安全で特異性の高いサルヘルペスウイルスB用診断抗原の作出と普及
3.現状の評価
(1)狂犬病に関して
組換えワクチンのベクターについて、真核細胞および原核細胞に対するベクターの使用と発現効率
の検討をしており、さらに植物細胞への導入とその感染防御能の評価をおこなっている。狂犬病はわ
が国には存在していないので、最終的な野外応用としては流行国研究機関との共同研究を視野に入れ
ている。
(2)ヘルペスBウイルスに関して
国内での自家開発キットによる診断を目指して近縁ウイルスであるヘルペスウイルスパピオを用い
たELISA法の確立が本施設の属する研究グループによって進められ、使用可能なキットの作出に成功
している。また、ウェスタン法や競合法ELISAといったELISA以外の診断法も必要不可欠であるので、
これらのためにBウイルス構造蛋白の発現を急いでいる。
(3)オーエスキー病ウイルスに関して
マウスにおける潜伏感染モデル作出に成功しており、これを用いたウイルス再活性化に伴う宿主内
変化についてのデータ収集・論文作製が進行中である。
4.将来の改善改革に向けた方策
(1)狂犬病に関して
組換えワクチンについては、植物細胞への導入を進め、現在まで試みてきた大腸菌、酵母菌、昆虫
細胞、マウス細胞などの種々の発現系について総合比較し、候補を絞って経口ワクチンへの応用を検
討していく。
(2)ヘルペスBウイルスに関して
診断法の確立は引き続き行う予定である。またワクチンの開発を新規に始める予定であるが、これ
については日本国内だけで研究を進めるには限界があるので、在外研究などですでに関係の深いアメ
リカ・ジョージア州立大学のBウイルス研究室などとの協力が不可欠である。
(3)オーエスキー病ウイルスに関して
宿主内変化について、特に免疫系の因子に変化が見られることが確認されているので、今後、特に
ウイルスの潜伏箇所である脳内における各種因子の動態について検討を加えたい。
動物実験施設