1.研究目標
(1)発生学的に関連する奇形から炎症および腫瘍に及ぶ幅広い疾患のスペクトラムに対し、放射線学
的に至適な画像診断の確立を目標とする。
(2)最新の多相ダイナミックCTおよびMRIを利用して、腫瘍の詳細な病態ならびに分子生物学との関
連性を追求し、将来の治療方針に結びつけることを目標とする。更に核医学検査やMRIの機能画像
を利用した研究を進め、各疾患の機能面における異常を明らかにする。
(3)動脈瘤などの血管性病変や腫瘍性疾患に対し、手技の安全性、成功率、および予後の面から外科
的切除術に置換し得るようなInterventional Radiology (最小侵襲治療法)の開発を目標とする。
さらに外科的切除術が不可能な進行癌症例に対しては,最新の分子生物学(遺伝子療法等)を
Interventional Radiology に応用し、より高い腫瘍制御および予後の改善が得られるような治療法
を確立する。
(4)悪性腫瘍に対する集学的治療法として、放射線原体照射と制癌剤動注療法との併用療法の有用性
を検討し、両者の併用の至適時期及び至適量を確立する。
2.現状の点検
(1)代表原著論文10編
畑 博之,森 宣:「内科臨床とCT」 腹部 胆嚢:診断と治療,86, 1425, 1998
(IF:0)
前田 徹,森 宣:’98ラジオロジーの新たな展開.放射線診療とネットワーク:新医療、1,75-79,1998
(IF:0)
滝 誠,船越 猛,脇坂昌紀:治療用ボーラス材Elastomer を使った電子線治療の検討:大分県放射線腫瘍学研究会誌,3, 1-3, 1998
(IF:0)
Wakisaka M, Mori H, Matsumoto A, Ochotorena IJL, Funakoshi T: Radiation therapy for bone metastasis from hepatocellular carcinoma: evaluation of pain relief and tumor regression. J Jpn Ther Radiol Oncol 10: 323-329, 1998
(IF:0)
吉田賢一,村上康則,朝原正喜,中村 悟,本田 貢,杜下淳次,東田善治,大塚昭義,吉田 彰:増感紙‐フィルム系の絶対感度の施設間比較:日本技術学会雑誌54,371-377,1998
(IF:0)
近藤泰史,濱田智広,望月祐次,吉田幸人,村上康則,東田善治:低濃度領域における低コントラスト物質の検出能;信号検出におけるフィルムコントラストとノイズの影響:日本技術学会雑誌54,492-498,1998
(IF:0)
中山晃一:Tc‐99m心筋製剤を用いた心筋SPECTの検討‐核医学画像処理装置の面からの検討. 九州SPECT研究会誌6, 23-26, 1998
(IF:0)
村上康則:大分県における高齢者福祉の基盤の研究:平成11年度ワークショップ研究成果報告書 大分大学大学院経済学研究科,118-133, 2000
(IF:0)
吉田幸人,近藤泰史,小石幸生,中山晃一:心電図同期心筋SPECT解析プログラムp-FASTの紹介,大分総合画像診断研究会誌,4,1-3, 2000
(IF:0)
Wakisaka M, Abe T, Ishii Y, Mori H, Funakoshi T, Mori T, Yokoyama S: Correlation of pathologic finding with dose distribution In a case of Intraocular choroidal melanoma treated by stereotactic radiosurgery.:Acta Oncologica, 39(5): 639-642, 2000
(IF:0.747)
(2)講座で出版した原著論文数とインパクトファクター合計
平成 9年度(0, 0)
平成10年度(7, 0)
平成11年度(2, 0)
平成12年度(4, 0.747)
(3)科学研究費補助金及び民間の公募制による研究補助金等の獲得状況
なし
3.現状の評価
現状の問題点として、ここ数年の放射線部における業務の量的・質的変化に比較して、放射線部の絶対的な人員不足があげられ,研究面における目的・目標の達成度は極めて不満足な状態である。しかしながら、診療および教育、研究という大学病院としての責務を再認識し、研究面においてもアクティブな参加を積極的に推進すべく意識改革を図っているところである。
4.将来の改善改革に向けた方策
Interventional Radiology および Radiation therapy を含む最小侵襲治療法の研究は,現在推進させている臓器別診療体制が整えば、信憑性の高いデータがより多くの症例で得られかなりの改善に繋がるものと思われる。また、大学を中心とした遠隔医療支援の推進も、症例の収集能の向上に結びつき、研究面ばかりではなく地域医療に多大な貢献をもたらすものと思われる。また放射線部内のネットワークを進め、病院情報システムとの連携を深めさらに充実した画像監理システムを構築し、診療効率の向上と患者サービスのみならず、医学研究の充実に向けて整備中である。
放射線部