1.研究目標
(1)学生の心身の健康増進および疾病の発生予防に貢献する。
(2)学生の健康教育に関する理論の確立とそれに基づいた実践。
(3)地域に開かれた保健管理センターとして地域住民の健康増進および疾病の発生予防に貢献する。
2.現状の点検
(1)代表原著論文10編
Mizuki M, Yukishige K, Abe Y, Tsuda T: A case of malignant pleural mesothelioma following exposure to atomic radiation in Nagasaki, Respirology, 2(3), 201-205, 1997
小池 惠、水城まさみ、津田富康、穴井孝信、波川京子:若年女性における生活活動量および体格が骨密度に与える影響についての検討(第一報)、Campus Health九州、27, 72-73, 1997
小池恵、水城まさみ、波川京子、穴井孝信、田中博、小池勇一:若年女性における生活活動量および体格が骨密度に与える影響についての検討(第三報)看護職や他職種との比較と今後への生活指針・SASの統計処理での検討、Campus Health 35:267-270, 1999
水城まさみ、小池恵、津田富康:医学科学生を対象にしたアンケート方式による解剖実習に関する健康調査、Campus Health 35:366-370, 1999
穴井孝信、富安俊子、波川京子、小池恵、水城まさみ、有馬和代、宮川勇生:若年成人女性および褥婦骨量測定スクリーニング,、Osteoporosis Japan 7:57-59, 1999
Mizuki M, Komatsu H, Akiyama Y, Iwane S, Tsuda T: Inhibition of eosinophil activation in bronchoalveolar lavage fluid from atopic asthmatics by Y-24180, an antagonist to platelet-activating factor, Life Sciences 65(20): 2031-2039,1999
(IF:1.937)
波川京子、水城まさみ、小池 惠、水城春美、小池勇一:離島における住民の生活習慣と骨密度・残存歯牙との関連、大和証券ヘルス財団の助成による・・・研究業績集 第23集, 121-126, 2000.
Mizuki M, Eklund A, Grunewald J: Altered expression of natural killer cell inhibitory receptors (KIRs) on T cells in bronchoalveolar lavage fluid and peripheral blood of sarcoidosis patients, Sarcoidosis Vasculitis and Diffuse Lung Diseases, 17(1): 54-59, 2000
(IF:1.406)
小池 惠、水城まさみ、津田富康:大学生のBMIと体脂肪率、Ωとの関係、保健指導での活用と留意点、Campus Health, 37(1); 584-588, 2000
水城まさみ、津田富康:人体解剖実習中のホルムアルデヒド曝露による身体症状発現とアトピー性素因との関連について、アレルギー50(1), 21-28, 2001
(2)原著論文数とインパクトファクター合計
平成 9年度(2, 不明)
平成10年度(0, 0 )
平成11年度(4, 1.937)
平成12年度(4, 1.406)
(3)科学研究補助金及び民間の公募制による研究助成金等の獲得状況
大和證券ヘルス財団第25回研究助成
研究期間:平成10年6月〜平成11年10月
研究者名:波川京子、水城まさみ、小池 惠、水城春美、小池勇一
課題:離島における住民の生活習慣と骨密度・残存歯牙との関連
平成10年度教育研究改革・改善プロジェクト(大分医科大学)
研究期間:平成10年度
研究者名:水城まさみ、小池 惠、藤倉義久、三浦真弘
課 題:本学医学科学生を対象にした解剖実習でのホルムアルデヒド曝露に関する健康調査なら
びに教育環境改善プロジェクト
平成11年度教育研究改革・改善プロジェクト(大分医科大学)
研究期間:平成11年度
研究者名:水城まさみ、小池 惠、藤倉義久、三浦真弘
課 題:本学医学科学生を対象にした解剖実習でのホルムアルデヒド曝露による諸症状とアトピ
ー素因との関連について(実態に即した教育環境改善のために)
科学研究費(萌芽的研究)
研究期間:平成11年度、12年度
研究者名:水城まさみ、寺尾英夫、津田富康、藤倉義久、三浦真弘
課 題:ホルムアルデヒド曝露による人体障害発生機序
科学研究費(奨励研究B)
研究期間:平成12年度
研究者名:小池 惠
課 題:医学部学生の体格および血圧に関する保健指導の充実を計るための卒業生の追跡調査研
究
平成12年度教育研究改革・改善プロジェクト(大分医科大学)
研究期間:平成12年度
研究者名:水城まさみ、小池 惠、犀川哲典、津田富康
課 題:学生定期健康診断システム化とデータ自動取り込みによる保健指導充実のための改革・
改善プロジェクト
3.現状の評価
保健管理センターは平成8年4月に、学生の心身の健康に関する相談、保健・健康教育の場として新設された部門でまる5年しか経っていない歴史の浅い施設である。専任が教官1名、保健婦1名という少数体制ではあるが、本学の学生の健康管理に関する教育・研究の要として、また全国の保健管理センターの目標でもある地域に開かれた保健管理センターとしての役割を担ってきたことは、十分評価に値するものと考える。
(1)保健管理センターの研究面における特色および独自性(ベストワンではなくオンリーワンを目指
す)一般の臨床研究では困難な特定の集団における長期にわたる継続した研究が可能である。
同一テーマでの研究の積み重ねができる。
学生の健康管理に関する教育・研究の要の施設であることから、医学科、看護学科、中央診療施
設などの教職員との共同研究が可能である。
全国保健管理研究協議会などで実施する全国レベルでの研究活動に参加できる条件にある。
(2)目的・目標の達成度または長所と問題点
(本施設における研究活動の中から現時点での最重要の三課題について述べる。)
1)医学部学生の解剖実習におけるホルムアルデヒド曝露に関する研究
平成10年度から取り組んでいる本施設の重要研究課題の一つである。科学研究費補助金ほか研
究助成金によって現在も研究を継続している。成果として特筆されるのはホルムアルデヒド曝露
の人体障害の機序解明の手がかりが得られたこと、本研究データより解剖実習室の環境改善(換
気装置の改善工事)を実施していただき実習中の身体症状やアレルギー学的検査値の一定の改善
が得られたこと、さらには本研究に関する論文が文部科学省で実施することになった全国国立大
学医学部、歯学部の『系統解剖実習室内空気中化学物質の室内濃度等について』の調査を始める
にあたり、一定の役割を果たしたことである。今後全国レベルでの共同研究の必要性が高まって
くると予想され、人的、経済的に解決すべき問題点が多々ある。
2)若年者および住民の骨密度に関する研究
若年者、中でも若年女性の骨密度の低下が問題となっている中で、生涯健康で社会に貢献して
いける人材を育成していくという本施設の役割から鑑みて、丈夫な骨つくりに関する保健指導を
確立していくための本研究は重要である。看護学科教官との共同研究で本学看護学科学生を対象
とした骨密度測定および問診を実施し、骨密度に影響する因子について解析を試みたが母数が少
ないこと、多因子でありそれぞれが複雑に影響しているためにいまだ十分な結論は見い出してい
ない。問題点として骨密度測定装置を保有しておらず、リースも困難な状況から継続した調査が
できないことがある。
(3)医学部学生の体格および血圧に関する保健指導の充実を計るための調査研究
学生健康白書1995によると男子学生の1/4で血圧が正常高値を示す。学生時代に適切な保健指
導を行い、将来高血圧症の発症を予防していくことが求められる。特に医学部学生の場合は将来医
療に携わる専門職となる集団であり、卒業後の追跡調査についても正確な情報が得られると考えら
れる。従って予防医学の観点からも本研究の果たす役割は大きい。10年、20年さらにそれ以上の地
道ではあるが、息の長い研究の成果が期待されるものである。
4.将来の改善改革に向けた方策
(1)センター所長を専任にする。
現状ではセンター所長が併任であるが、センター専任の立場として教授会その他に参加している
わけではないので、保健管理センターの大学内での位置付けの重要性とは裏腹に、発言権は非常に
弱いものといわざるを得ない。したがって予算面や運営面などで制約がある。このことが研究活動
を、十分に行えない原因となっている。以上より独立行政法人化への方向性に対応していくために、
センター所長を専任にすることを希望する。
(2)専任教官および常勤の事務官の増員により、さらに充実した教育、研究活動ができる条件つくり
をする。
(3)保健管理センターで健康管理学の講義を担当する。
学生の健康教育の要となる機関として、保健管理センターで系統的に講義を持っていく必要があ
る。特に本学は将来の医療人を育成するという役割を持った大学であり、健康管理学は医学のどの
ような分野に進むにしても必要不可欠である。
保健管理センター