T 教育目的及び目標

 

1.教育理念

 本学は創設時に、基本理念を制定し、教育、研究及び診療の充実並びに組織及び施設の整備に努力してきた。平成12年度になり、ここ数年来行ってきた本学開設以来ともいえる教育改革をさらに具体的に推進するため、教育理念、教育目的および教育目標を制定した。医学部としての教育理念は、創設時の基本理念を一部手直し、下記のように改正した。

「本学は医と看護に関する最新の学術を教授・研究し、高度の医学及び看護学の知識と技術並びにそれらの本義を見失わない道徳観と、それを支える豊かな教養を身につけた臨床医及び医学研究者並びに看護職者及び看護学研究者を育成し、もって医学及び看護学の進歩、国民健康の維持増進、さらに医療・保健を中心に地域及び国際社会の福祉に貢献することを使命とする。」

 

2.教育目的と目標

 医学部看護学科は平成6年4月の開設時に「目的・目標」を制定し、その後一部改正をしながら今日に至っているが、医学科及び大学院医学系研究科については、平成12年度になり初めて以下のように制定した。

(医学部医学科)

○目的

患者の立場を理解し、全人的医療ができるよう、豊かな教養と人間性、高度の学識、生涯学習能力、国際的視野を備えた医師を育成することを目的とする。

○目標

@幅広い教養と高い倫理観を備えた感性豊かな人材を育成する。

A問題発見・解決型の教育を行い、最新の医学知識や技術を習得するための生涯学習能力を備えた人材を育成する。

Bコミュニケーション能力と指導力並びに協調性を備え、全人的医療やチーム医療の実践ができる人材を育成する。

C医療や保健・福祉の問題を理解し、広い視野から地域社会のみならず国際的にも活躍、貢献できる人材を育成する。

(医学部看護学科)

○目的

人々が心身共に健康な生活を営めるよう、適切な看護を行うことができる専門的知識と技術の修得を促し、看護学の発展と地域住民の保健・医療・福祉の向上、ひいては国際社会への貢献ができるよう、豊かな人間性を備えた人材を育成する。

○目標

@看護の専門職として求められる人間的成長を図り、生命の尊厳を理解し、人権を尊重して行動できる。

a自己のアイデンティティを確立し、個性ある一人の人間として自己を認めることができる。

b生命を尊重し、かつ、人間を身体的・精神的・社会的存在として総合的に理解することができる。

c個人の権利と多様な価値観を認め、それを基盤とした人間関係を発展させることができる。

A看護に関する専門的知識と技術を修得することによって、個人とその家族、または集団の健康問題に適切に、かつ、柔軟に対応できる。

a個人とその家族、または集団の健康問題に対して適切な看護判断を行い問題解決のための計画を立案し、実践し、評価することができる。

b個人とその家族、または集団の健康問題を解決するために必要な社会資源を活用することができる。

c看護にかかわる事象に対して、研究的に取り組むことができる。

B看護学を基盤とした実践、教育及び研究の場において、社会における看護の役割と責務を自覚し、行動することができる。

a専門職として看護の本質を探求し、自ら研鑽することができる。

b個人とその家族、または集団、及び各専門職者との間において、教育的関わりを発展させることができる。

c保健・医療・福祉サービスにおいて各々の専門性を尊重し、協働することができる。

C看護専門職として、将来、国際的にも学際的にも活躍することができる。

a世界の各地で生じている健康問題を様々な側面から理解し、解決のための方策を考えることができる。

b他の学問領域との交流を深め、看護を発展させるための課題を見出すことができる。

(大学院博士課程)

○目的

医学研究者育成を主眼とし、それぞれの専攻分野について自立した研究者として活動を行うに必要な高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。

○目標

@専攻分野における高度の知識を吸収し、その整理、明確化を行い、問題の理解と発掘ができる人材を育成する。

A発掘した問題の本質を、基礎医学、臨床医学、社会医学等の枠にとらわれない科学的観点から理解し、生命倫理を遵守した研究課題を設定、遂行することができる人材を育成する。

B専攻分野の研究遂行に必要な最新技術を備えた人材を育成する。

C研究結果をまとめ、迅速に公表し、評価を受ける積極性を備えた人材を育成する。

(大学院修士課程)

○目的

医療全般にわたって広い視野と高い見識を持ち、専門的な知識と科学的思考、論理的判断を基に他の職種と連携をとりながら、個人とその家族又は集団の持つ健康問題の解決のために適切な援助ができる豊かな人間性を持った看護実践専門家、優れた指導力を持った看護教育者、看護学の学問体系の確立のための研究者及び国際社会に貢献できる人材を育成する。

○目標

専門科目及び共通科目における講義、演習、臨地実習及び特別研究を通して、以下の能力を養う。

@看護知識と理論を各専門領域の看護実践に応用することができる。

Aヘルスケアシステムの中で、看護実践及び看護管理に関する高度な専門知識と技術を発揮することができる。

B保健・医療・福祉の専門職との連携において、看護専門職としての意思決定と主体的行動がとれるとともに、リーダーシップを発揮することができる。

C看護教育の理念と方法に関する高度な知識と技術を修得し、優れた教育活動を実施することができる。

D看護理論と技術を開発、検証し、実践へ応用することができる。

E複雑かつ多様な人々の健康問題に柔軟に対応し、学術的及び国際的に活躍することができる。

 

3.教育目的及び目標の公表と周知度の評価

(1)現状の点検と評価

 創設時の基本理念は、これまで本学が出版する各種の冊子(学生便覧、教育要綱、レッツチャレンジなど)への掲載や学長室をはじめ学内の数ヵ所に額に入れて掲示し周知に努めてきた。看護学科の教育目的と目標は、平成6年から看護学科の教育要綱及び学生便覧に掲載し、学生への周知を図り、少なくとも看護学科の学生や教職員は良く認識しているものと思われる。改正した今回の医学部の教育理念と新たに制定した医学科及び大学院の目的と目標は、平成13年度から学生に配布する主要な印刷物に掲載することした。

(2)将来の改善・改革に向けた方策

 一般市民に対する周知方法として、大学が主催する公開講座等の冊子への掲載、講演会などでの周知、平成12年度に設立した大分地区の国立学校広報センター(Research Education Plaza:R E プラザ)の積極的な利用を図ると共に、附属病院内にも掲示し、病院を訪れる患者や家族に対する周知に努めたい。