2.医学科における支援の現状・評価・改善の方策等
(1)良好な学習環境の提供―附属図書館―
Self-learningのための環境提供として、まず一定の講習を受けたのちに図書館を24時間利用できるように全国に先駆けて平成6年、24時間無人入退館システムを導入して有効に利用されている。また、学生の自己学習を支援するため、CD-ROM,Videotape等教材室を設けて解剖学、断層解剖学等の資料を置くとともに、貸し出しの円滑化を図るために自動貸し出し装置を設置、活用されている。
情報処理実習室では50台のパソコン(1台のMacintoshを除きWindowsのみ)を揃え、使用法の教授をするとともにインターネットにアクセスできるようにしており、Medlineなどの参考文献11種類のデータベースがネットワーク利用されている。また学内Local Area Networkを通じて本学のHome Pageへもアクセスできるが、ここでは各疾患の典型像をTeaching Fileとして臨床画像教材(Computed Tomography、 Magnetic Resonance Imaging、 内視鏡像、腹腔鏡像、胸腔鏡像、病理像等)を中心とした医用画像データベースへもアクセスできSelf-learningが随時できるようにしている。もちろん本学の外、たとえば自宅からでもインターネットにアクセスすればこの医用画像データベースの利用が可能である。ここで利用される症例は、患者のプライバシー保護に留意しながら医療情報部/医学情報センターを中心にして、放射線医学講座と病理学講座1との共同で行っている”Case of the week”に出題した症例や放射線医学講座のTeaching filesなど各講座から厳選した症例と解説である。
学内では現2年次生からチュートリアルシステムによる少人数グループ自己学習制度が開始され、そのための24のチュートリアル室も整備されている。一室はマジックミラーを備えて主任教官室からの見学および評価に役立たせようと考えている。これを終えて臨床実習に入るわけであるが、その前にイントロダクタリーコースVにて患者とのinterviewing skill、 physical examination skillを養うように、臨床心理学研修、OSCE制度などを整備している。大きな特徴として臨床実習も臓器、疾患群別に組み換えたことがあげられるであろう。講座、学科目の垣根を払い無駄な重複を避けた制度である。院内の臨床教育環境の改善点の一つに手術室での進行状況を手術室のモニター画面にて見学できるようになったことがあげられる。放射線部からのCT、MRI等の各診療科病棟、外来へ参照画像の送信は現在放射線部と医療情報部とで検討され具体化に向けて進行中である。まだ本邦の教育カリキュラムでは不十分であるFamily Medicine、 Behavioral Science等を補う意味で総合診療部が平成12年に設置された。また、外部の連携病院の各々の分野の専門家を臨床教授として委嘱任命し、連携病院での臨床実習がより濃厚かつ効果的となっている。懸案事項としてはInformed Consent室専用に使える部屋がどの外来、入院棟にもないことが挙げられる。診断治療の指針検討および決定するためのカンフアランス室も手狭となっている。卒後教育の欧米の3〜6年間という長さに比べて本邦は短く、教育カリキュラムも整備中の段階である。