2.看護学科における現状・評価・改善の方策等

(1)教育実施状況や問題点を抽出・把握するシステムの整備状況

)現状の点検

 平成10年度より看護学科会議を組織している。その下部組織として、カリキュラム部会、看護学実習部会、科目運営部会、学生部会を設け、問題や課題の把握と解決の方策を検討している。各部会はそれらの活動状況を学務委員へ報告している。最終的に、学務委員あるいは各部会長から提案された問題や課題について、看護学科会議において審議し、解決策や方針を決定している。また、学科会議の下部組織として、入試検討部会、就職専門部会、情報システム部会を設け、入学から卒業までの一貫した学生指導へつながるような体制を整えている。

 学科内にて問題解決ができない、すなわち大学全体の問題にかかわることに関しては、学内委員会(学務委員会、入学試験委員会、附属図書館運営委員会など)へ提案している。また、教育にかかわる将来構想などについては、看護学科教授会にて話し合う体制をとっている。(資料3)

 平成9年より全学教育課程改革ワーキングが発足し、看護学科からは3名の教員を選出し、医学科カリキュラム変更に向けての活動に参画した。平行して、看護学科の全教員参加のもとに看護学科カリキュラム改革に向けての活動を開始し、カリキュラム検討ワーキングを設置した。ワーキングにおいて原案を作成し、看護学科公聴会を開催して変更・修正するという作業を繰り返すことにより、平成12年度より新カリキュラムによる教育を開始した。

 教育活動の評価に関しては、卒業時に4年間の教育活動に対する調査を実施している。学科創設以後学生による授業評価を任意に実施してきたが、平成12年度より全学的に実施する方針となった。また、看護学科においては平成11年度より教員による授業評価(course evaluation 自己評価)を実施し、その結果を学科内教員に公表している。

 現状の評価としては、学内諸委員会と看護学科会議の連携を円滑に行うことにより、教育に関する問題の早期解決が図られている。各部会の活動を評価し、次年度の計画立案へ活かしており、特に潜在的カリキュラムの充実に効果を発揮している。学生による授業評価を活かしながら、次年度の授業設計へと改善が見られている(平成11年度及び12年度看護学科course evaluation 参照)。実習教育の目的を達成し、その質を向上させるためには、実習施設として重要な役割をもつ附属病院との連携を強化する必要がある。

 今後の改善および方策としては、看護学科会議における各部会の役割と機能をさらに高めていくとともに、各部会の連携を促進していく。

 授業評価に関しては、同僚評価の導入に向けて環境作りを行う。特に、新旧カリキュラムの移行期間であり、教育活動の円滑な実施に配慮したい。

 看護学科と看護部の連携を強化するために、平成13年1月に「大分医科大学看護ユニフイケーションシステム推進委員会」を発足した。今後は本委員会を通して教育・実践・研究にかかわる活動を発展させる。

(2)教職員の教育能力開発

 学内においては、看護学科のカリキュラム改正に向けて、多くの教員が学務委員会、全学教育課程改革ワーキング、看護学科カリキュラム検討委員会、カリキュラム部会などの諸活動に参画し、実現に向けて努力した。

 学外においては、大分県主催の看護教員養成講習会および実習指導者講習会の講師として活動している。また、保健婦(士)、看護婦(士)、助産婦を対象とした研究会や講演会を、他機関あるいは本学で実施することにより、教育・研究に対する指導能力を発揮している。

 平成12年度より看護学教育ワークショップ(文部科学省主催)に看護学科と看護部より各々1名が参加し、実習指導における指導能力の改善を図っている。

 現状の評価としては、教員は各自の専門分野の知識や技術を基盤として指導にあたっているが、教育技術について十分に修得している一方で、入試方法の多様化により、さまざまな背景をもつ学生が増え、個別性のある指導方法や教材開発が求められており、個々の教員および組織の教育能力をさらに高めるための取り組みが必要である。

 将来の改善改革に向けた方策として、学外および全学的なファカルティディベロップメント(FD)活動を継続するとともに、平成13年度より看護学科として、新任教員(助手)を対象とした臨床研修と看護過程教育の研修及び全教員を対象とした教育課程と看護技術教育の研修などのFD プログラムを新たに開始する。

 また、教員の教育力向上の目的でもある実習報告会は、職位・領域を越えて様々な指導課題を検討している。しかし、その具体的な成果は、図りにくいことが現状の課題として残されている。また、実習報告会として実施していた会をよりFDのプログラムに近づけるよう、平成13年度からは、正式に学科内FDのプログラムとして企画をする予定である。