5.学部・研究科の枠を超えたカリキュラムが提供されているか
現状の点検と評価
医学科では、先の学部教育の項で簡単に述べたように、学部学生は専門基礎教育科目を履修後4年次2学期に9週間研究室配属上級編を履修する。そこでは実際研究等に参画してもらい、場合によっては論文に纏められる期間とした。本学では平成11年度よりこのコース修了時点で更に研究を発展させたい学生が出てきた場合は、5年次、6年次に用意されている臨床実地修練を行わず、直接大学院に進学するMD/PhDコースが制度化されている。これは学生の多様な進路に対応したカリキュラムの一つで、大学院修了後本人が希望すれば再び5年次に編入できる制度である。しかしながら、これまでこの制度の利用を希望する学生はまだ現れていない。このような制度が存在することを知らないことに原因の一端があることも考えられ、学生への一層の周知を図らねばならない。
一方、本学が教育上有益と認める時、他大学の単位互換対象科目を履修して単位を修得すれば本学の卒業要件単位として認定している。平成12年度末現在では、本学と大分大学、放送大学、大分県立看護科学大学、大分県立芸術文化短期大学との間で協定が結ばれている。
しかし、この単位互換制度も本学から他大学での履修を申し出るものはなく、他大学からの受入の一方的なものになっている。医学科の基礎・教養課程が実習などで時間を取られ、他大学へ行く時間的余裕が無いためと考えられる。徒歩10分にある放送大学で学習する学生は数名は在学している。
看護学科では、学科間を越えたカリキュラムとして基礎科目(「文学」「歴史」)専門基礎科目(「医療概論」)が設けられており、看護学科生・医学科生が共同して受講している。共に学習する環境を整えることで、学習上の人間関係を促進している。
平成12年度から他大学との教養科目の互換を認定している。これは他大学との連携を図ることで、学ぶ範囲を拡大し、人間に対する関心を深める機会となること、また他大学・他学部との学生(あるいは教員)間で築く関係性により、看護者としての人間的な成長を期待するものであった。しかし現時点では、本学から他大学に受講する学生はいない。その理由として、他大学までの距離的・時間的な問題や、本学のカリキュラムが各年次における学習の積み上げや関連性を重視していることなどがあげられる。
また、大学院医学系研究科(修士課程)では、共通科目において専攻する領域に限らず受講できるようになっている。