山梨医科大学副学長(医療担当) 塚原重雄
茂木病院長を先頭に、色々新しい事にも取り組まれて総体的に良くやられていると、私は評価したいと思います。たまたま茂木病院長には、私が病院長になった4年前ですが、山梨で全国国立大学病院長会議があった時に色々助けていただいたのですが、その時のテーマが5つあったんですね。第1が国立大学病院で患者本位の医療をするにはどうしたらよいか。第2が国立大学病院の管理運営の改善の手立ては。3つ目が国立大学病院長がリーダーシップを発揮できる体制にはどうすればよいか。更に、卒後臨床研修の問題。もう1つが情報開示に対応するにはどうしたら良いかという点でした。これは全部現在問題になっている事だと思います。この5つの点で評価すると、大分医科大はかなり色々やられていて、評価してよいのではないかと思います。
いくつか感じた点をお話ししますと、私共は病院機能評価を3年前に受けたんですけど、まず病院の理念、モットーを設定しようとした時に、なるべく患者さんが理解できるものにしようということで、私共は、一人一人が満足できる病院、というモットーを作りました。大分医科大学では、“患者本位の最良の医療”ということで、これは少し堅いような感じがします。機能評価を受けたときに、そう指摘されるかもしれません。
それから、細かい点ですが、病院の外から、玄関からずっと見てまいりますと、玄関を入る時にバリアフリーになってない所があり、段差があり問題かもしれないですね。
また、病院に入った正面に案内図がないですね。今どこに居て、どこに耳鼻科が、どこに内科があるという案内図がほしいですね。それから、外科の担当医の表示がされていない科があり担当医が誰だか分らない。そういうことにちょっと気が付きました。
院内の整理、整頓だとか植栽も非常に綺麗になっていて、その辺は問題ないと思います。サインも良いのではないかと思います。
気になりましたのは、やはり、眼科へ行った時に、個室制になってませんから、プライバシーが保たれないということです。科によって、外来の待ち合いの所に患者さんが待っているわけですが、中待合がないという構造上の問題でもありますが、ああいうところで待たせて良いのかどうかと思いました。
外来によっては待合の壁に色々貼紙があって、あれが非常に煩わしいというか、統一性がなく、やはりまとめてボードに貼り付けるなどしないといけないのではないかと思いました。
良い点としましては、臨床薬理センター、或いは治験センター、創薬センターというものがあって、治験の面で非常に先進的なことをやられている。ただ、この3つが1つになれば、もっと良いのではないか。治験件数の減少傾向があり問題です。
それから、救急部の機能がどうかということが、ちょっと疑問に感じました。地域との連携がどうなっているのか、あるいは救命救急センターがどこにあるのかということが、ここでは非常に問題だろうと思うんですが、大分医科大学にはないということで、救急患者の受入れで例えば、熱傷患者とか、重度の中毒患者とかが来た時にどうするのかという、そういう受け入れ体制に関することです。
在院日数の短縮ということで、もっとクリニカルパスみたいなものを導入される必要があるのではないかと思います。また外来患者数の減少、高度先進医療の件数が少ない点も改善されねばならないでしょう。
慶応義塾大学耳鼻咽喉科学教授 神崎 仁
塚原先生に、だいぶお話しされてしまいましたけれども、600床の大学病院としては大変良く、組織運営、リスクマネージメントがなされており、これが結局環境の問題とか、サービスの問題に繋がるんですが、色んな委員会もしっかりしておられて問題ないと思います。
病院も非常に綺麗で、廃棄物の処理もちゃんとされていているようで良いのですが、外来の患者のプライバシーというのが、どこの病院もそうなんですが、今後の目標として、もうちょっと保たれるように、患者の話が待っている患者さんに聞こえないようにすることが必要じゃないか。特に産婦人科などでは必要ではないかと思いました。
輸血は24時間体制で、これからなさるということで、これは問題ないと思いました。
在院日数はもう少し短くなるだろうとは思うのですが、そのためにクリニカルパスをもう少し活用する、というのが良いと思います。
それから、患者さんの待ち時間の点ですが、薬の待ち時間、事務の待ち時間、診療の待ち時間というのが、患者さんに分かるような患者サービスというか、あと何分待てば薬がもらえるとかが分かるような、表示があれば望ましいと思います。より良いサービスのためにこういう事を今後やって頂くほうが良いのではないかと思います。
治験も非常によくやっておられて良いと思います。
カルテですが、ナースとドクターが同じカルテに書くというのは良いと思いますが、ナースも読めるようなカルテの書き方、情報公開の時に患者さんにも分かるようなカルテの書き方という方針でやっているとは思うのですが、お互い書くだけでなくて、コミュニケーションをとって、書いた内容に整合性があるというか、確認する必要があるのでは、一つにすることは、わかり易くて、ドクターがいちいち看護記録を見なくてよいので、非常に良いと思います。
それから、クリニカル・スキル・ラブというのは、学生の教育として非常に良いと思います。教育というのは、巡りめぐって患者さんサービスになるわけですから、そういう意味で大事だと思います。
総合診療科というのが、紹介状がない方を全部総合診療科に通すということで、良いと思うのですが、その長の先生が消化器内科出身の先生だということが、ちょっと気になりまして、消化器内科に患者が行かなくなるようなことはないのでしょうか。この評価とは関係ないのですが、他の病院でも総合診療内科があるんですけども、主任の方の元を聞いてみると循環器内科だったり、呼吸器内科だったりするんですね。総合診療科の方というのは、特定の専門をもたないで、オールラウンドに看るわけですが、やはり、自分のルーツがそうだから、(専門医的に)診てしまうんじゃないかというような気がします。
同じ事は救急部にも言えると思うのですね。救急部のヘッドが何科の人か、外科の人なのか、内科の人なのか、脳外科の人なのかによって、多少違ってきて、すぐに専門の科に廻すのと自分で少し診てから、というのがあるように思います。
これから救急をどういうふうに充実させる方針なのか、三次救急までやられるのかスタッフの問題も、もちろんありますが、私は、救命救急は病院の使命として、採算を考えないでやらないと出来ないと思っているので、経営理念に反するんですが、もしも、この大分県で救急救命センターみたいなものが、大学しかないとすれば、大学として、使命感を持って採算性を度外視しても、やる必要があるのではないかと思います。勿論経営の方の問題とスタッフの問題等もありますが。
この大学は、自分の大学のことを差し置いて言うわけではありませんけれど、我々の大学より良いところも沢山ございます。そういう意味で病院の機能としては、大変立派なものだと思います。細かい点で、もう少しやっていただければもっと良いかと思います。総体的には、上の部に入ると思います。以上です。
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