6.動物実験施設

○現状の点検(現状並びに問題点とその検討状況)

(1)飼育室及び実験室

 1)飼育室の利用状況及び稼働率(12年度末現在)

 a.一般飼育室

  ・ウサギ・モルモット・ハムスター飼育室の利用状況は、現在11講座が利用し稼働率は68.8%

   である。

  ・ラット飼育室の利用状況は、16講座が利用し稼働率は81.4%である。

  ・マウス飼育室の利用状況は、10講座が利用し稼働率は81.4%である。

  ・イヌ・ネコ飼育室は、現在利用する講座がない。

  ・ニホンザル飼育室の利用状況は、7講座が利用し稼働率は72.8%である。

 b.特別区域の飼育室

  ・2階及び3階隔離区域の利用状況は、7講座が利用し稼働率は75%である。

  ・4階物理的封じ込め区域の利用状況は、4講座が利用し稼働率は78%である。

  ・特殊隔離室の利用状況は、4講座が利用し稼働率は92.5%である。

 2)実験室の利用状況及び稼働率

  ・ほぼ毎日7テーブルのうちいずれかは利用されている。

  ・稼働率は実験室1=79%、実験室2=124%、実験室3=46%、実験室5=71%である。

(2)検収・検疫

 1)検収

 a.搬入動物

  ・搬入された実験動物を各飼育室に入舎させる場合は、施設職員が検収を行い入舎させている。

  ・検収時に搬入された実験動物に不具合等が発見された場合は、直ちに購入者及び搬入業者に

   連絡し適切な処置を行っている。

 b.譲渡動物

  ・譲渡動物を施設内に搬入する場合は、各自治体と協議の上行っている。

   イヌ・ネコの譲渡は、現在行われていない。

     ニホンザルの譲渡は、譲渡元である各自治体と協議を行って実施している。

  ・譲渡された各個体は、譲渡元である各自治体の担当者立ち会いの元で検収を行っている。

  ・検収時に導入された各個体の、譲渡書類等に不備等が認められた場合は譲受を拒否している。

 2)検疫

 a.搬入動物

  ・実験動物専門業者から購入し搬入される実験動物については、当該業者が定期的に微生物検

   査を行っているので、搬入時の検疫は省略している。

  ・他の研究機関から搬入される実験動物については、搬入する利用者の責任において、微生物

   検査成績書の提出を義務づけているので、搬入時は検査のみ実施している。

 b.譲渡動物

  ・施設職員が施設内で、細菌検査を実施している。また、ウイルス検査等は外部研究機関に検

   査を依頼している。

(3)その他

 1)講習会

 a.実施方法及び実施状況

  ・新規登録希望をする者については、入退館管理システムによって利用者の登録を行っている

   ので希望者は、すべて講習会を受講している。

  ・講習会用に施設職員が、施設規定及び関係法令集等を記載した「動物実験施設利用マニュア

   ル」を製本して講習会出席者に渡している。

  ・施設教官による、実験者としての心構え及び実験動物に対しての愛護の精神について上記の

   「動物実験施設利用マニュアル」を用いて説明している。

  ・施設職員による、利用の仕方及び注意事項並びに施設からの伝達事項について上記の「動物

   実験施設利用マニュアル」を用いて説明している。

 2)清掃・消毒及び洗浄・滅菌

 a.各飼育室及び実験室の清掃・消毒は、施設職員が毎日行っている。

 b.利用する講座が専有している特殊飼育室については、講座の責任において清掃・消毒を行っ

  ている。

 c.洗浄・滅菌作業は施設職員の責任において実施している。

 3)データの収集・作成

 a.実験動物を使用して得られたデータを基にした、学会発表・論文発表・著書等の表題を各講

  座別に依頼して収集している。

 b.施設利用状況を、実験動物に関するデータ及び利用者に関するデータとして収集し作成して

  いる。

○現状の評価(目的・目標の達成または長所と問題点)

(1)飼育室及び実験室

 1)飼育室の全体稼働率からすれば平均78.5%であるので、全体的に見れば施設内での受け入れ

  頭数には余裕があるような印象を受けるが、特定の飼育室に限れば、収容限度数を遙かに上回

  っているのが現状である。

 2)実験室の全体稼働率についても1と同様であるが、実験室2のように特出した利用状況にな

  っているので利用者の利便性に支障をきたしている。

(2)検収・検疫

 1)検収業務については、速やかに行われている。

 2)搬入動物の検疫業務については、速やかに行われている。譲渡動物については、ウイルス検

  査のみ他の研究機関に検査を依頼しているので、経費がかかりすぎるため利用者の金銭的な負

  担になっている。

(3)その他

 1)講習会の出席率はほぼ100%であるので、施設運営には一部を除いてスムーズに行われて

  いる。

 2)清掃・消毒・洗浄の各作業については、一部を除いて適切に行われているが、滅菌業に関し

  ては、一部の高圧滅菌装置の老朽化のため、修理及び経費等がかさみ業務に支障をきたしてい

  る。

 3)データの収集等は適切に行われている。

○将来の改善改革に向けた方策

(1)特定の実験室に対して利用者の希望が偏っているので、他の実験室へ効率的に分散できるよ

  う実験室内の改造を図りたい。

(2)使用されていない飼育室を実験室に転用できるようにする。

(3)譲渡動物のウイルス検査を、自家検査できるように早急に整備していく。

(4)譲渡動物を使用しての実験は、各自治体からの譲渡に頼っており、供給量・譲渡時期・個体

  の生理的条件等に制約があり、実験に支障をきたす場合がある。そこで、施設内での繁殖が行

  えるように技術を習得していく。

(5)講習会では、現在ソフト面だけの講習を行っているので、ハード面も講習が可能になるよう

  体制を整えたい。

(6)耐用年数が経過した一部の高圧滅菌装置について更新する。

(7)施設で実験動物に関する各提出書類の提出方法を、学内LANを利用しての提出方法に改め

  て、ペーパレスを図り利用者の利便性に向上していく。

(8)施設運営を今後ますますスムーズに行うためまた、利用者のさらなる利便性を図るために施

  設利用者会議の実施方法を検討する。