臨床医学系講座
1.インパクトファクターと代表論文(資料8参照)
過去4年間のインパクトファクター合計が100を超えた講座は、内科学第1(294.433)、内科学第2(126.518)、外科学第1(166.225)の3講座である。単独の論文でインパクトファクターが10以上の論文は残念ながらない。しかし、臨床系の論文が基礎系に比しインパクトファクターが低いことを考えると単独論文のインパクトファクターが低くなる。内科学第1、内科学第2、臨床検査医学には、8点から9点台が数編見受けられた。
それぞれの分野における一流雑誌でもインパクトファクターが低い場合があるため、臨床系の論文では特にインパクトファクターだけで評価できない面がある。英文論文数が多い講座は、内科学第1、内科学第2、脳神経外科学の順であった。専門分野の臨床的研究はインパクトファクターこそ少ないが、臨床にフィードバック出来る病態解明の優れた研究が目立つ。それぞれの評価は、後述の講座別の自己点検・評価を参照されたい。
論文数、インパクトファクターも徐々に増加しており、今後研究面での環境を整備し研究内容を向上させたい。
2.科学研究費補助金及び民間研究助成金等の獲得状況(資料9参照)
本学の科学研究費補助金採択状況は、年間1億円前後と全国国立医科大学の下位に位置している。臨床系においても同様の状況である。特に、近年は基盤研究A及びB、特定領域の各分野の成績が悪く、全国平均を大きく下回っている。民間研究助成金等の採択は数えるほどである。特に財政事情が悪化する中で、文部科学研究費補助金は飛躍的に拡充されることが予想されることから、外部資金の中でも各省庁の研究費補助金の獲得を積極的に推奨する必要がある。
3.学術賞等の受賞状況(資料10参照)
内科学第2、整形外科学、皮膚科学、耳鼻咽喉科学、放射線科学、麻酔科学、心臓血管外科、総合診療部の9講座等で受賞事例がある。他大学の受賞状況が不明であることから比較評価することはできないが、整形外科学、耳鼻咽喉科学、放射線科学などでは複数の受賞があり、活発な研究活動を裏付けており,特に若手研究者の励みになっていることは当然である。受賞数や権威ある賞の受賞は、本学の財産に結びつくことでもあり、大学全体の評価を高めることに繋がることから今後はより活発な研究活動を進めることが重要である。
4.共同研究の実施状況
学内や国内での共同研究は、内科学第1、外科学第1、脳神経外科学、整形外科学、皮膚科学、泌尿器科学、耳鼻咽喉科学、麻酔科学、臨床薬理学、歯科口腔外科学、心臓血管外科、薬剤部、病理部、医療情報部とほとんどの講座、部門で行われている。
国外との共同研究は、外科学第2,脳神経外科学,皮膚科学,耳鼻咽喉科学,麻酔学で実績がある。今回の自己点検では共同研究と科学研究費等の外部資金との関係は分析できなかったが、講座間の共同研究が外部資金の積極的な獲得に作用することが望まれる。
5.受託研究等の実施状況
受託研究の実績は、ほとんどの講座で実績がある。詳細は、資料2を参照されたい。この中で、治験以外の臨床系受託研究は、平成9年度から11年度まで1件づつ、平成12年度は2件であり、殆どが治験となっている。
6.新聞掲載やラジオ、テレビ、放送大学等からの放送
臨床系医学講座の多くは、地元紙である大分合同新聞に専門医として一般社会人に分りやすい文章で専門性の高い情報を掲載してきた。研究面だけでなく、医療面からも地域の中核病院としての社会的貢献と考えてよい活動と考える。
また、マスメディアだけでなく、インターネットの普及により効果的な研究活動の公開も可能になったことから、今後はこの方面での活発な活動が予想される。一例としては、耳鼻咽喉科学の花粉情報である。
7.大学院生の人数(資料12参照)
本学医学科全体では毎年、大学院博士課程への入学数が26~30人程度となっている。その内2/3 が臨床医学系講座に属している。人数は内科学第1と臨床薬理学が圧倒的に多く、内科学第1、整形外科学の順である。医学生や研修医、医員の病棟実習や実技習得の重要性が叫ばれる今日、臨床講座の基礎的研究を支えるのは大学院生であり、各講座が積極的に臨床研究への動機付けを行い大学院生の獲得に努力する必要性が有る。
8.地域活動の実施状況
対象が、医師、医療従事者、一般市民を中心に殆どの臨床系講座で講演依頼により数多く実施されておる。定期的な活動から随時の活動と、その活動形態は様々である。これらの活動内容も、研究者としての活動と地域の中核病院の医師としての活動とが重複していると見うけられ、臨床系講座からの報告では、純粋に研究を目的とした地域活動は一部の講座に限られている。
9.国際シンポジウム主催状況
臨床系講座の主催実績は、整形外科学と耳鼻咽喉科学の2講座であった。
10.国外への研究者派遣状況(在外研究員等)(資料13,14参照)
文部省在外研究員の派遣は平成10年に1件、平成11年に3件、平成12年度に1件である。アメリカ合衆国が圧倒的に多い。この他、国外の大学より研究費を授与されたり、所属学会よりの派遣などで6ヶ月以上研究を目的に留学し臨床系研究者が毎年10名前後有ることは頼もしい。
11.国外からの研究者の招致状況
臨床医学系講座への外国人客員研究員の受け入れ状況は資料15の通りである。過去4年間で、中華人民共和国が9名と最も多く、ベトナム2名、次いでカナダ、アルバニヤ、アルゼンチン、モロッコ、ロシア各1名である。受け入れ臨床系講座にはばらつきがある。外国人受託研修員の受け入れは,資料16に示される通り、平成11年と12年度にドミニカ共和国3名づつ受け入れ、全て放射線医学に於いて研究が行われていた。