一般教育等

1.インパクトファクターと代表論文(資料8参照

 一般教育は11学科目、14名の教官で構成されている。分野は広いが殆どの学科目を1人の教官が担当しており、また文系と理系では研究評価の基準が異なること(例えば、文系では殆どの論文が和文であること、また文系の論文誌に対するインパクトファクター(IF)なるものが存在しないことなど)から一般教育を文系(倫理学、社会学、心理学、英語、独語)と理系(数学、情報科学、物理学、化学、生物学、人間生物学)に分けて、その研究評価を行うこととした。先ず、論文数に関しては4年間で文系が44報、理系では69報であった。文系では年平均は11報/5学科目、学科目平均は9報/4年である。即ち各学科目が年平均2報ずつ原著論文を発表していることなる。論文の内容の評価は、前述の通り文系ではIFが無く、客観的評価基準を持たないから出来ないが、論文等の出にくい文系であれば、数だけから判断すれば、まずまずの健闘といえよう。ちなみに最大の論文数の報告は英語科目であり、4年間で14報であった。これは外人教師を含め3人の教官が在職していることが要因かもしれない。一方、理系では年平均は17報/6学科目、学科目平均は11報/4年であった。平均して理系の各学科目は年平均1.7報の論文を出していることになる。最大論文数は生物学4年間で39報であった。これは年平均約10報であり、一般教育の中では特筆すべき数のように思われる。一方、4年間にわたって論文が報告されていない例もある。数学がそれであるが、特に基礎数学は理系の中でも論文作りが極めて難しい分野であり、それを反映していると思われる。しかし当該学科目の今後の改革の項に記述されているように他の分野との共同研究の推進等により研究成果のあがることが望まれる。次にインパクトファクター(IF)に関しては、総論文数は69編でIFの合計は23.736であった。これは論文一報当たり0.344であることを示している。また1報の論文のIFの最高値は化学の1.732(Ultrasonics Snonchemistry )であった。各学科目での1論文あたりのIF数の平均値は0.123(情報科学)、1.074(物理学)、0.876(化学)、0.211(生物学)、0.136(人間生物学)であった。一般教育全体を通して、IFが5とか10を超えるような論文は無く、また論文の総数も医学科の専門分野にくらべると劣っているのは明白である。しかし、看護学科の研究成果と比較し、一般教育では研究よりは教育が重視されていること、さらには殆どの学科目が一人の教官だけが在職していることを考慮すれば、一般教育の各教官が平均して毎年2報近くの論文を出していることは健闘していると評価できよう。一方、他の単科医科大学における一般教育の研究水準との比較検討も行いたいところであるが、残念ながら現段階では比較できるデータが無い。さらに学内においては今後予定されている講座および学科目の再編と関連して、研究環境の改善とともに今後の研究成果の質および量の両面における一層の飛躍が望まれるところである。

2.科学研究費補助金及び研究補助金獲得状況

 過去4年間を通して毎年何らかの形で補助金は獲得しており、延べ数は17件(文系6件、理系11件)である。内訳は基盤研究(B)が3件、基盤研究(C)が7件、奨励が2件、萌芽が2件、民間が3件である。これらは特別に大きな金額のものは無いが、獲得数が年々増加傾向にあり、徐々にではあるが一般教育の教官による研究も確実に外部から評価されつつあることを表すものとして、今後ともこの傾向の継続が期待される。

3.学術賞の受賞状況(資料10参照)、組換えDNA、大学院生の人数

 過去4年間に2件の受賞(平成9年 倉掛重精(人間生物学)体力・栄養免疫学会 三島賞、平成12年 江島伸興(情報科学)日本行動計量学会 優秀賞)があった。

4.共同研究の実施状況

 4年間での学内、国内、国外との共同研究の総数は文系12件、理系28件で合計40件であった。共同研究の件数と研究論文数との間に相関があり、一般教育のように学科目当たりスタッフ数の少ない部署において研究成果を上げる為には共同研究が不可欠であることを示している。したがって、各学科目の共同研究へ向けての積極的努力が必要であろう。

5.組換えDNA実験の状況(資料11参照

 組換えDNAの実験は生物学が4件(6人)申請・実験を行っている。今後、分子生物学的手法の導入により一層実験は増加すると思われる。

6.大学院生の人数

 大学院生は過去4年間いないが、平成11度より一般教育の教官全員が大学院医学研究科博士課程の授業を担当し、また生命科学関係の研究をしている教官は大学院生の研究指導が出来るようになった。これを受けて、平成13年度より大学院生を受け入れる学科目も出ており、今後の増加が期待される。

7.地域活動の実施状況

 これからの地方大学の役割として地域社会への貢献が大きく期待されるところである。過去4年間の全体で50件(文系が33件、理系が17件)であった。中でも心理学26件と人間生物学15件が際立って多い。このことは社会性の高い学問分野であることを反映していると思われるが、基礎学問分野でも地域社会への貢献についての具体的検討が必要とされ、平成13年度からは夏休みを利用して、小中学生を対象にした地域活動の試みが始まっている。

8.国外への研究者派遣状況(資料13参照

 文部科学省在外研究員1名(平成12年)である。