W 社会的貢献

1.医学科

(1)基礎医学系講座

   かなりの講座で新しい治療法・診断法の開発を通じて社会に対する貢献が行われた。CD14N

  端フラグメントを用いたエンドトキシンショック制御、血清抗マクロファージ活性化因子の分離によ

  る免疫・炎症反応抑制、CD156の細胞外ドメインを用いた抗炎症薬の開発、ADAM15のアンチセン

  スを用いたアポトーシスの阻止、狂犬病ウイルス性疾患の遺伝子診断技術の国外移転と遺伝子組替え

  経口ワクチンの開発、狂犬病ヒト型抗体の産生技術確立、ヘリコバクター・ピロリ菌の予防的・治療

  的ワクチンの開発、赤外線分析法の多変量解析による高脂血症非侵襲的診断法の開発等がおこなわれ、

  社会的な貢献の高い分野が見られた。社会医学では胃癌・胃炎の早期スクリーニング法開発で国外で

  の検診も実施され、発展途上国に対する貢献が目立った。

(2)臨床医学系講座

   かなりの講座で新しい治療法の開発を通じて社会に対する貢献が行われ、糖尿病関係の新知見、ヘ

  リコバクター・ピロリ菌除菌法開発、深在性真菌症迅速診断法開発、向精神薬の時間薬理学的な薬物

  効果の証明と臨床応用、うつ病発症の新知見、ヒト・エピプラキンの発見と皮膚科的疾患への関与、

  自己免疫性水疱患者の診断法の開発、アトピー性皮膚炎の自宅パッチテストの応用、食道癌・胃癌手

  術再建術式改良、バレット食道癌の多施設研究、外科、泌尿器科領域での内視鏡新手術技術開発、B

  型慢性拡大型大動脈解離手術術式の開発、滲出性中耳炎病態・成因・遷延化因子の解明、副鼻腔炎病

  態解明、上気道感染症への鼻粘膜ワクチン開発、黄斑部局所ERGによる網膜機能検査装置の開発、

  術中眼底造影法による網膜循環動態研究のマイクロサージェリーへの応用、粘弾性物質を用いた薬剤

  供給システム開発、Ic型抗不整脈薬での神経因性疼痛治療、肝癌に対する樹状細胞を用いた免疫療法

  などをはじめ数多くの診断法開発を含めた新治療法を通じた貢献が目立ち、特許出願件数も増加して

  いる。

   また、保健管理センターでは解剖実習中ホルムアルデヒド暴露による人体障

  害の解明が行われ、全国調査を含めて解剖実習環境の改善が行われたことになり、全国の医学生教育

  やシックハウス症候群の本態解明や予防対策に大きく貢献した。

2.看護学科

 看護学科全体では地域の対する専門知識の提供は多く、各種講演会、教育等の活動が目立ち、基礎看護ではマスメデアを通じた活動が盛んであった。研究面では学内共同研究が見られたが、全体として低調である。

3.一般教育等

 一般教育全体で、著書等を通じ社会一般に対する教育、また地域に対する専門知識の提供が一部の学科目から見られ、一部の学科目で乳癌患者の心理的サポートプログラム開発によるグループカウンセリング・心理社会的サポート介入、学校ストレスと心の健康・スクールカウンセリングの実践研究などの貢献が見られたが、全般的に低調である。

4.今後の展望

 今後、基礎医学から臨床医学領域へのtranslational studyの増加が予測され、さらなる研究面での社会的貢献が期待される。