X 諸施策と諸機能の達成状況

1.現状の点検と評価

 研究活動を活性化し研究の質を向上させる諸施策の達成状況として、客観的データのある本学医学系研究科の学位取得状況、論文を提出して学位審査を受けるいわゆる論文博士号取得状況は下表の通りである。

  医学博士・看護学修士号取得者数の推移

年 度

平成9年度

平成10年度

平成11年度

平成12年度

課程博士

論文博士

課程修士

17

15

23

15

23

13

11

23

21

12

 博士課程研究科は定員30名であるが、実際の入学者はここ数年平均して27名程度である(資料12参照)。詳細な説明(大分医科大学自己点検・評価2001年。教育参照)は省略するが、平成9〜12年度の過去4年間に、標準終業年限の4年間で終了できたものは、37.5%〜46.7% であった。年限を越えたから質が悪い、年限内だから質の高い論文ということは決して言えないが、やはり、標準年限内に質の高い論文が完成するように、教官も更に努力する必要がある。

 修士課程看護学専攻は平成10年度に設置されたもので、平成11年の課程修了者が初めてとなる。定員は16名である。平成11年度に終了できたものは11名で入学者に対して70%弱であるが、中途退学や休学の学生がおり、事実上の留年者は2名のみである。課程博士および論文博士の論文は、論文審査時に、第一著者で審査制度の確立された英文学術雑誌に(可能な限り優れた国際誌)に投稿され、受理または既に公表された論文が必要なことになっているが、修士論文は現在のところそのような規定は設けていない。修士論文の内容が、国際学会に発表されたり、現在学術雑誌に投稿中のものも数編あるが、これまでのところ印刷公表されたものは1編だけである。今後は多くの論文を学術雑誌に公表することに努力する必要がある。

 実験実習機器センター、動物実験施設、RI実験施設などの研究支援組織の利用状況(資料5,6,7参照)は「二 研究体制および研究支援体制」で既に述べたが、各施設とも全体としての利用状況にはここ数年間大きな変動はないが、詳細に見ていくと、例えば、実験実習機器センターでは、最近、MINCS を利用した大学間でのカンファランス、講義などの放映の増加、学内の学部学生、大学院生対象の各種映像の放映などの増加で、同センターの映像部門の教育、研究支援の比重が大きくなってきている。しかし、これらの施設の研究支援体制の評価は、これまで各学内組織がそれぞれ近未来の目標を立てて、それに向かって努力をする習慣がなかったこともあり、具体的評価が出来ない状況である。具体的目標を立てても、例えばその実現に対して概算要求などでの予算が認められないこともあり、目標設定が困難な場合も大いにあり得ることである。

 文部省からの科学研究費補助金をはじめとする外部からの研究資金の導入も委任経理金を除いて非常に低調に推移していることは前述した(資料2,3,4,9参照)。これも、研究支援組織の場合と同じく、今後5年間で採択件数を何件増やすとか、獲得総金額を2億円にするとか、困難が伴うことではあるが、やはり努力目標を立てて努力を重ねることが重要と考える。

2.今後の改善改革に向けての方策

 本学の学科目等、医学科の各講座、看護学科の各講座あるいは研究に関わる各組織などが、これからは例えば次の5年間に、学術論文を何篇発表するか、その際インパクトファクターの合計を何々までにしたいとか、科学研究費を何件取得したいとか、努力すれば実現可能な具体的目標を設定して、関係者が一丸となってその目標に向かって努力を重ねるシステムづくり、そして大学としては、これら各組織の目標をサポートし、また、萌芽的研究など、成果が出るまで長期間を要する研究などを推進、応援する体制づくりが研究活動の活性化や研究活動の評価にとって肝要と考える。