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目の中のレンズである水晶体が濁って見えにくくなることを白内障といいます。濁る原因は他の病気が原因であったり、放射線や薬が影響することもありますが、最も多いのが老人性白内障です。いわば白髪と同じで、誰にでも起こりうる老化現象です。
ふつう濁りは急に進行することはありませんが、一度濁ってしまった水晶体は残念ながらもとに戻りません。しかし症状の軽いうちは、生活にそれほど問題はありません。また、濁りが強くなってものが見えにくくなり、いよいよ生活にも不自由を感じるようになれば、濁った水晶体を取り除く手術で視力を取り戻すことができます。
水晶体は,目の瞳の奥にある直径9mm、厚さ3.5mmほどの凸レンズ状の透明な組織です。カメラのレンズと同じように、外から入ってきた光を目の奥の網膜にピントを合わせる働きがあります。厚さを自由に変えることにより、遠くのものも近くのものも同じように焦点を合わせて見ることができます。
透明なこの水晶体がだんだん濁ってくるのが白内障です。濁ってくると光が通る量が滅ってきますので、視力にも影響が出てきます。霧がかかったように見えたり、濁りで光が乱反射するのでまぶしく感じることがあります。
ただ、痛みはありませんので、すぐには気づかないことが多いのです。
一度濁った水晶体はもとに戻りません。また、それを完全に防ぐこともできません。ただ、白内障の初期の軽い時期には、薬を用いて白内障の進行を遅らせることができます。
白内障治療薬としては,いくつかの飲み薬と目薬があります。それぞれ働きは異なりますが、いずれも水晶体内部のタンパク質の変性を少しでも防ぐことを目的としています。
ただし、症状の進行を完全に止めることはできませんので、水晶体の濁りが強くなりやがて手術が必要になることもあります。
手術をする時期は患者様の希望で決めます。生活に不便を感じなければ、白内障と診断されたからといって手術を急ぐ必要はありません。
ただ、放っておくと白内障が原因で緑内障やぶどう膜炎など他の目の病気になる可能性もありますので定期的な診察は必要です。
生活にはさほど不自由しないものの、仕事などで目をとくに使うことの多い場合(たとえば車を運転することが多い仕事、活字を見る仕事など)は、手術を早めにしたほうがよいかもしれません。
白内障が進んで、とても見えにくくなってきたら,手術で濁った水晶体を取り除きます。最近、国内全体で手術件数も飛躍的に増え(2001年では年間85万件)、安全性も向上してきました。入院期間も数日程度ですみます。患者様の年齢や体調によっては入院せずに日帰りで手術を行うことも可能です。
超音波乳化吸引術
被膜前部を切開して穴を開け、ここから水晶体内部をそのまま取り出す方法で、水晶体内部を超音波の振動により細かく破砕し吸引する方法です。この方法ですと傷口が小さくすみます。取り出したあとは、濁りが残らないよう被膜の内部をきれいに磨きます。
手術で濁った水晶体を取り除くと、光が透過するようになります。さらに、水晶体の代わりにアクリル樹脂でできた人工のレンズ(眼内レンズ)を白内障手術と同時に挿入することで、もとに近い視力が得られるようになります。
一般的な白内障手術では、単焦点眼内レンズを使用しています。単焦点眼内レンズは本物の水晶体と違って、焦点は常に一定に固定されたままですので、必要に応じてメガネやコンタクトレンズで調節することもあります。
また、近年Quality of Vision(見え方の質)を向上させるレンズとして多焦点眼内レンズが大変注目されております。こちらは、単焦点眼内レンズが保険適用になるのに対し保険適用外となり、単焦点眼内レンズより高額となります。多焦点眼内レンズは、眼鏡でいえば遠近両用、遠くと近くのどちらにもピントを合わせることができる眼内レンズです。眼鏡への依存を軽減することが期待できます。
ただ、眼内レンズは、人体にとって異物となりますので、その人に合うかどうかを事前によく検査してから挿入するかどうかを決めます。
手術直後は安静が必要なのはいうまでもありませんが、しばらくすれば歩いたり、食事をしたりふだんどおりの生活をしてもかまいません。
しかし、手術を受けた目の傷は治るまで少し時間がかかります。また、挿入した眼内レンズが目の中でしっかりと固定されるまでは数週間かかります。
その間は、傷口が開いたり、眼内レンズが眼球内ではずれたりしないよう目を大事にしま しょう。手術後しばらくの間は定期的に医師の診察を受け、挿入した眼内レンズがきちんと収まっているか、また度数が合っているか、合併症が現れていないかなどを確認します。
■手術後の注意点