SARSウイルス複合説浮上、日本医学会総会WHO側が見解

香港などを中心に拡大する肺炎「重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)について世界保健機関
の尾身茂・西太平洋地方事務局長が4日、福岡市で開催中の日本医学会総会で緊急講演し、二種類のウイルスが
複合している可能性があるとの見方を明らかにした。

尾身事務局長は、「患者を調べると、風邪などを起こすコロナウイルス、はしかなどの原因となるパラミクソ
ウイルスの二種類が共に見つかる例が多い」」と説明。

「主因と見られるコロナウイルスの働きを、パラミクソウイルスが補助している可能性が高い」と述べ、二種類の
ウイルスが相互作用して発病する“二重感染”の疑いがあるとの見方を示した。

SARSの原因を巡っては米疾病対策センター(CDC)などがコロナウイルスの新種が主因との見解を示している。

尾身事務局長も「動物に感染するコロナウイルスが変化して、人にも感染する新種になった可能性がある」と、
基本的にはこの説を支持、パラミクソウイルスの働きについても踏み込んだ調査が必要と指摘した。

(2003/4/5 日本経済新聞)