中国がSARSを法定伝染病に指定、WHOはなお警戒

【北京=竹腰雅彦】中国衛生省の馬暁偉次官は10日、北京で記者会見し、中国政府が新
型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)を法定伝染病に指定したことを明らかにした。

SARS対応での不手際が指摘されている中国政府は、これにより、隔離など感染者に
対する強制措置がようやく取れるようになる。

馬次官はまた、中国本土のSARS感染者数は、9日現在で1290人、うち死者は
55人になったと述べた。死者数の地域別内訳は、広東省44人、北京市4人、広西
チワン族自治区3人、山西省2人、湖南、四川各省が1人。

馬次官は、感染者の8割がすでに回復または退院したと強調した。

しかし、世界保健機関(WHO)は9日、「北京では患者と接触した人に対する調査が
組織的に行われておらず、感染拡大に結びつく可能性がある」などとする報告をホーム
ページで公表している。

また、広東省でSARSの感染状況を現地調査したWHO専門家チームは、同日夜、
北京で記者会見し、「まだ新たな患者が発生している」とし、現時点で同省への渡航
延期勧告を解除することには慎重な姿勢を示した。

(2003/4/10/21:13 読売新聞WEB版)