感染怖い!外出イヤ…新型肺炎で北京市民買いだめ

【北京=浜本良一】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
が広がる中国北京市で、市民が食料品の買いだめに走りだした。
感染を恐れ、買い物による外出回数を減らそうとしているためだ。
今後さらに感染者が増えれば、買いだめパニックに発展する可能性がある。

23日、市内の大手スーパーではマスクをつけた買い物客で大に
ぎわいとなり、米やインスタントラーメン、缶詰などの保存食品の
ほか、消毒薬などが飛ぶように売れている。

ある大型スーパーによると、買いだめは、衛生省が北京の感染者数
を9倍以上に上方修正したことが伝えられた今週初めから始まった。
大勢の市民が一気に危機感を持ち始めたようだ。

市内崇文区のスーパーで両手に買い物袋を抱えたマスク姿の主婦
(35)は「非典(非典型肺炎=新型肺炎の意)にかかると怖いので、
外出回数を減らせるよう普段より多めに買った。レジで30分以上も
待たされた」と語る。

会社員男性(45)は「レストランなど不特定多数の人が集まる場所
での食事が怖くなった。しばらくは自宅で食事するから、余分に買い込んだ。
感染防止のため、会社も休みになった」と話していた。

また、会社員の女性(26)は、「中心街が防疫のため封鎖されると聞き、
あわてて会社を休んで買い出しに来た。自宅では手洗いとうがいを
しているが、不安でしようがない」と語り、消毒液などが入った袋を
抱えて足早に立ち去った。

市街地が封鎖されるとのうわさは山西省太原市でも流れており、
両市政府は23日、全くのデマであり、信じないよう市民に呼びかけた。
しかし、SARS患者隠しなどで、市民の間には当局への強い不信感が
広がっている。

(2003/4/23/21:50 読売新聞WEB版)