SARS拡大防止で封鎖措置…北京市

【北京=竹腰雅彦】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
の感染拡大を防ぐため、北京市は24日、感染者が出た病院などを
強制封鎖し、新たな感染源となる可能性がある人や施設の隔離を
徹底する強硬措置に乗り出した。

同市が23日夜に公表した通達によると、封鎖対象となるのは、
市当局が「SARSに汚染された」と判断した病院、工場、ホテル、
住宅、学校、村落など。このほか、感染者、感染の疑いがある人に加え、
これらに「密接に接触した人」、動物までが強制隔離対象となった。

通達は「伝染病予防法」に基づいて出された。悪質な隔離拒否者には、
「故意に伝染病を拡散させた」として、最高7年の懲役刑が適用されるという。

24日現在、封鎖対象となった施設名は公表されていないが、市北西部
にある北京大学人民病院では、完全な封鎖措置が取られた。公安当局が
病院敷地の周囲にテープを張り巡らして人の出入りを禁止、物々しい
雰囲気となった。外部からは、防護服とマスクで厳重に身を包んだ医療
関係者の姿が見えた。ベッド1200床の院内は閑散としており、入院
患者などが別の施設に隔離されたことをうかがわせた。

北京市では23日夜現在、計1637人の感染者・感染の疑いのある人が
報告されている。

一方、中国衛生省の24日の発表によると、中国の感染者は前日より
100人以上増えて2422人となり、死者は4人増の計110人となった。

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 ◆SARS「疑い例」国内で新たに1人◆

SARSの「疑い例」患者1人が24日、新たに厚生労働省に報告された。
疑い例は、流行地から帰国後10日以内に38度以上の発熱とせきなどの
呼吸器症状が出た場合と定義されている。今回の報告例は既に回復に
向かっており、感染の可能性は低いとみられる。

より重症の「可能性例」と、疑い例の累積報告数は計57人となった。
このうち54人はこれまでにSARS感染が否定され、今回の疑い例1人と
可能性例2人の計3人が経過観察中となっている。

(2003/4/24/20:26 読売新聞WEB版)