新型肺炎、上海でも患者隠し?…米誌報道

【香港=関泰晴】米誌「タイム」(電子版)は24日、中国・上海の
病院が、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の調査に訪れ
ている世界保健機関(WHO)の専門家チームの目を逃れようとして、
患者を隠すなどしていた、と報じた。

上海の公表感染者数は2人で、かねてから「過少報告」ではないかと
の指摘は出ている。

同誌が伝えた総合病院の医師の話によると、感染が疑われる患者7人が
秘密裏に入院中という。WHO専門家チームが23日に視察に訪れたが、
病院当局はチームを別の建物に案内、即席の隔離病棟を隠して見せない
ようにしたという。

また、別の伝染病専門病院の医師は、感染が疑われる患者30人以上が
入院中と証言。「上海市政府の要求で、感染確認の基準が厳しくされて
いる。香港の基準を採用すれば、多くの患者は感染者と確認されるだろ
う」と語った。

「感染者ゼロ」と公表している総合病院の医師は、ある記者を専門家
チームのメンバーと勘違い。感染が疑われる14歳の患者のレントゲン
写真を見せ、「患者が通学する学校で高熱を訴える生徒が出ており、
観察中です」と、うっかり秘密を明かしてしまった。

同誌によると、市政府の当局者は地元のメディアに対しても、「感染者
の人数は国家機密」として、患者などに取材をしないように警告して
いるという。

一方、25日発売の香港誌「亜洲週刊」は、中国衛生省が、SARS
感染者の実態を隠すため、病院ごとに報告する患者の人数を事前に割り
当てる偽装工作を行っていた、と報じた。

報告患者割り当ては、統計上の感染者が増えないようにするためだ。

(2003/4/25/23:01 読売新聞WEB版)