WHO、新型肺炎死者は391人と発表

【ジュネーブ=大内佐紀】世界保健機関(WHO)は1日夜(日本時
間2日未明)現在の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の
世界での感染状況を発表した。

それによると、死者は4月30日に比べ、中国(11人増加)、香港
(5人同)、台湾(2人同)、シンガポール(1人同)で計19人増
え、391人となり、感染者(感染可能性例を含む)は5865人に
増加した。また、ポーランドで初めての感染者が確認され、感染者・
死者が報告された国・地域は27となった。

WHOは、「北京を中心とし、中国でのSARS感染・死亡がおさ
まっておらず、今後数か月内に中国でSARSを封じ込めることがで
きるか否かが、世界的な感染を食い止められるかどうかの分かれ目と
なる」として、中国の病院をいかに支援するべきかを検討していると
した。また、このために、中国全土でのSARS情報を集中的に管理
するデーターベース・システムの構築が緊急性を帯びていると指摘した。

◆2次感染防ぐ方策を強化◆

スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)は1日、新型肺炎(重
症急性呼吸器症候群=SARS)の患者の隔離基準を改訂した。病原
体を検出する技術が開発されたのを受け、従来の診断基準では隔離を
求めていなかった「感染の疑い」の段階の患者でも、病原体が確認さ
れた段階での隔離を求め、2次感染を防ぐ方策を強化した。

従来の基準では、流行地への渡航歴などがあって高熱や呼吸困難など
の症状がある場合を「疑い例」とし、患者にマスクを着用させるなど
の感染防止策を要請していた。さらに、エックス線検査で肺炎が確認
されると「可能性例」に格上げ、隔離を求めていた。

ただ新型肺炎をもたらすSARSウイルスの遺伝子などを検出する試
験法が開発され、感染していても検出されない可能性はあるものの、
逆に検出されれば感染は間違いないとの見方が強まっている。ウイル
スが検出された患者は、他人に2次的に感染させる恐れがあるため、
WHOは、「たとえエックス線検査の結果が不明確な場合でも隔離が
必要」と判断した。

(2003/5/2/11:45 読売新聞WEB版)