新型肺炎、くしゃみで飛散後ウイルス1日以上残存

新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)ウイルスは、くしゃみ
で飛び散ってから丸1日たっても残存していることを、世界保健機関
(WHO)の研究者が実験で明らかにした。英科学誌「ニューサイエ
ンティスト」(電子版)が3日伝えた。SARSウイルスは、空気中
に出ると数時間以内に死滅すると考えられていたが、予想以上にしぶ
といようだ。

プラスチック板に、SARSウイルスが混ざった液体を乗せて実験。
乾燥してから24時間後のウイルスの状態を調べた。すると、液体
1ミリ・リットル当たり約1万個あったSARSウイルスのうち1割
は死滅せずに残っていた。

SARSは、感染者のくしゃみで飛ぶ「つば」にウイルスが混ざり、
これに触れた人が感染する「飛まつ感染」が最有力。飛まつは周囲
2メートルほどに限られ、水分が蒸発するとウイルス表面が傷ついて
死滅する。このため、感染が広範囲に及ぶとは考えにくかった。

だが、マンションや機内で感染が広がった例が報告され、その原因は
なぞだった。WHOの研究者は、ウイルスの残存期間が予想以上に長
いことで、これらの例も説明できるという。

(2003/5/4/03:07 読売新聞WEB版)