中国産アヒルから鳥インフルエンザウイルス検出

中国から輸入されたアヒル肉から、鳥インフルエンザウイルス
(H5N1型)が検出されたことが12日、農水省の抽出検査
でわかった。H5N1型ウイルスは、香港で人間に感染した例
も報告され、少なくとも7人が死亡している。日本国内で検出
されたのは初めてだが、検疫段階で見つかったため流通してい
ない。

農水省によると、アヒル肉は中国・山東省から、大阪港と神戸
港に先月下旬に輸入された冷凍肉で、横浜市の農水省動物検疫
所の検査でウイルスを検出した。

中国産鳥肉は、2000年の統計で鶏肉やアヒル肉を中心に年
間約30万トンが輸入され、鳥肉の全輸入量の半数近くを占め
ている。生きた鳥は輸入しておらず、農水省は「国内の鳥に感
染する恐れはない。抽出検査した以外の鳥肉に万が一ウイルス
が存在しても、加熱処理して食べれば問題はない」としている。

◆香港で死亡例◆

鳥インフルエンザ(H5N1型)の人への感染が初めて確認さ
れたのは97年の香港だ。鶏市場などで18人が感染し6人が
死亡した。今年2月にも2人が感染し、1人が死亡。オランダ
では先月、別のH7N7型で1人が死亡した。

インフルエンザは、数十年周期で新型ウイルスが世界的な大流
行を起こしてきた。H5N1やH7N7はまだ流行は引き起こ
していないが、もし遺伝子が変異し感染力が強まれば、新型肺
炎を上回る被害をもたらすことは確実。旧厚生省は、日本でH
5N1が流行すれば最低で3―4万人が死亡すると試算した。

専門家の多くは「国内で食肉からH5N1が流行する恐れは考
えにくい」と話す。だがウイルスが生きている限り感染源にな
る可能性は完全には否定できない。万一の事態に備え、徹底し
た監視と輸入規制が重要になる。

(2003/5/13/03:07 読売新聞WEB版)