台湾人医師宿泊のホテル従業員、異常なし

日本から台湾に戻った台湾人医師(26)が新型肺炎(重症急
性呼吸器症候群=SARS)の疑いで隔離されている問題で、
厚生労働省は17日午前、医師が宿泊した4か所のホテル従業
員の健康状態について、ほぼ全員に異常がないことを確認した、
と発表した。

また、同日午後になって医師が乗った貸し切りバスの運転手が
発熱して入院していたと公表、「感染の可能性は低い」としな
がらも経過を見守っている。

同省は関係府県を通じ、16日夜から、医師が宿泊した大阪、
京都、香川、兵庫四府県のホテルの従業員の健康調査に乗り出
した。医師と接触した可能性の高いフロント従業員や、清掃担
当者らから聞き取り調査したところ、健康異常を訴えている人
はいなかったという。各自治体は、医師に接近した従業員に対
し、念のために10日間の自宅待機を求めている。

この医師は日本旅行中、ツアーに参加した台湾人20人と一緒
に行動していたことが判明しているが、9日夕に発熱してから
は貸し切りバスで移動、本州―小豆島―四国間のフェリー以外
は公共交通機関を利用していなかった。

入院しているバスの運転手は、10日から13日まで運転を担
当。13日夜、発熱やのどの痛みを訴え、16日になって入院
した。慢性の呼吸器疾患の持病による発熱と見られ、現在は平
熱に戻っているという。厚労省は当初は「問題なし」と説明、
17日昼過ぎになって公表し、「感染が誤解される恐れがあっ
た」と釈明。このほか、医師が台湾に戻る際に乗った日本アジ
ア航空EG217便の日本人乗客9人のうち、新たに5人と連
絡が取れ、発熱などの症状がないことが確認。これで、計6人
の健康状態がわかったことになる。

厚労省では、健康状態の追跡調査の状況から「油断はできない
が、日本で他に感染者がいる可能性は低い」としている。また、
厚労省は、接触者の追跡調査で関係自治体が混乱しているため、
17日中にも、大阪に専門家を派遣、関係自治体の連絡調整会
を開くことを明らかにした。

関西空港では17日午前1時半から約1時間にわたって、保健
所の職員3人が、航空会社の搭乗カウンターやトイレなど約1
0か所をアルコールで消毒した。

(2003/5/17/13:49 読売新聞WEB版)