日本から戻った台湾人医師、新型肺炎感染を確認

【台北=若山樹一郎】台湾の衛生署(衛生省)は17日午後、
日本への観光ツアー(8―13日)から戻った後で隔離されて
いた台湾人の男性医師(26)について、新型肺炎(重症急性
呼吸器症候群=SARS)の感染が確認されたと発表した。ウ
イルス検査結果をもとに、署内の専門家会議で感染を認定した。

台湾当局は同日午後、日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所
を通じて日本政府に通報した。衛生署によると、この医師は日
本滞在中の9日夜に発熱したが、薬を服用し、一時熱が下がっ
たため、そのまま旅行を続けていた。日本で発症した可能性が
ある。

この医師は8日、台湾人観光客21人のツアーで、日本アジア
航空EG218便で台北から大阪入りし、13日に同航空EG
217便で大阪から台北に戻った。旅行社によると、一行は大
阪のユニバーサルスタジオ・ジャパンでほぼ1日を過ごしたほ
か、京都や姫路を訪問。小豆島を経由して四国に入り、高松港、
大鳴門橋、淡路島などを見物した。

宿泊先は8、9両日=大阪市内、10日=天橋立(京都府)、
11日=小豆島(香川県)、12日=淡路島(兵庫県)だった。
一行は貸し切りバスで移動していた。

日本アジア航空によると、217便には乗客67人(日本人9
人)、乗員19人(同12人)が搭乗。厚生労働省によると、
日本人乗客のうち8人について健康に異常がないことを確認し
たが、1人とは連絡が取れていないという。衛生署では台湾人
乗客、乗員を自宅隔離する方針。

この医師は院内感染が起きた台北市の馬偕記念病院の救急診療
科に勤務。日本から台湾に戻った後の14日、新型肺炎に似た
症状を示したため、同院内に隔離された。同医師は、今月4日
夜に同病院で治療を受け、死亡した新型肺炎患者から感染した
疑いが強い。
(2003/5/17/22:15 読売新聞WEB版)