松下、北京工場の現地従業員感染確認で操業停止

松下電器産業は20日、中国の北京にある2つの工場で、現地
従業員計5人が新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)
に感染していることが確認され、17日夜から工場の操業を止
めたと発表した。

停止期間は10日から2週間程度になる見通し。中国にある日
系企業の工場が新型肺炎で一定期間閉鎖されるのは初めてだ。

新型肺炎に感染したのは、いずれも中国人男性で、テレビ用ブ
ラウン管の製造会社である松下ディスプレイデバイス有限公司
(BMCC)の4人と、照明用蛍光ランプを製造する北京松下
照明有限公司(BMLC)の1人。さらに、BMCCの4人が
「感染の可能性がある」として北京市内の病院に隔離されてい
るという。

松下電器は、両工場の消毒とともに、2次感染の有無を確認す
るため、全従業員の健康チェックを進めているが、具体的な再
開のめどは立っていない。

これまで、北京にある松下の別の工場で従業員家族の新型肺炎
感染の疑いから、生産ラインを1日止めた例があるが、本格的
な工場閉鎖は初めてで、中国での活動再開を探る産業界の動き
にも影響を与えそうだ。

BMCCは、1987年に松下電器が初めて現地企業との合弁
で設立した主力工場の1つで、日本人8人を含めて5200人
の従業員がいる。現在は松下電器と東芝の合弁会社「松下東芝
映像ディスプレイ」と現地企業との折半出資となっており、ブ
ラウン管を年間750万台生産し、中国内の松下グループのテ
レビ工場や、現地メーカーに供給している。

松下は、操業停止が長引いた場合に備え、マレーシアのブラウ
ン管工場で生産を代替する準備を進めている。

一方、BMLC(従業員約420人)については、再開後の増
産で生産の後れを取り戻す計画だ。

(2003/05/20/20:09 読売新聞WEB版)