【北京=佐伯聡士】中国誌「瞭望」(16日号)は、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)をめぐり、職務怠慢などを理由に4月中旬以降に処分された中国共産党・政府の幹部が、全国で5000人以上に達していると伝えた。
1つの事件をめぐってこれほど多数の幹部が処分されるのは異例と見られる。
処分の代表例は、5月初め、河南省沈丘県のトップである党委員会書記と県長がそろって解任されたケース。北京から帰郷した農民がSARSに感染していたにもかかわらず、隔離措置が実施されたのは28時間後で、農民と接触した交通機関や医療関係者、村民約800人が隔離され、村全体が封鎖された。対応の責任を問われた書記らは3日後に解任された。
中国では従来、幹部の仕事ぶりは公開されないため、情報のない民衆が評価することは難しいが、SARS対策は感染者数ですぐに結果が出た。同誌は、SARSに限った措置でなく、「政府の情報公開など透明性を高め、幹部の実績に対する評価基準を明確に定めるべきだ」と強調している。
(2003/6/17/18:48 読売新聞
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