新型肺炎と天然痘を最高危険度に…感染症対策

読売新聞WEB版
2003/08/15/xx:xx

   感染症対策の強化を検討していた厚生労働省は14日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)と天然痘を、感染症法上、最も危険度の高い「1類感染症」に追加することを決めた。同省の審議会が、感染症法改正案の骨子となる提言をまとめた。

 1類感染症には、エボラ出血熱やペストなど5疾病が指定されており、SARSと天然痘を加えると、7疾病となる。指定されると、感染の拡大を防ぐため、発症した患者に加え、自覚症状のない感染者についても、強制入院などが実施できる。

 提言は、SARSのような新しい感染症や生物テロ発生時の危機管理対応を重視。1類感染症の追加指定のほか、患者と接触した人の健康調査や、複数の自治体にまたがる広域対応に関し、国の強い指導力を求めた。1類感染症の患者を収容できる専門病院の不足も指摘し、各都道府県が整備を急ぐように明記した。

 西ナイル熱など動物由来感染症対策の強化も打ち出した。感染症を持ち込む恐れのある動物の輸入を監視するため、輸入時の届け出を義務付けるとともに、輸入規制の対象となる感染症の範囲を大幅に広げる。

 ◆感染症法 旧伝染病予防法などに替わり、感染症対策の根拠となる法律として、1999年に施行された。感染症を危険度に応じて4段階に分け、対応を定めているが、今回の見直しで5段階に細分化される見通し。見直しは、感染症を取り巻く情勢の変化に対応するため、原則5年ごとに行われる。

(2003年8月15日 読売新聞WEB版)


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