【マニラ=中谷和義】世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局の尾身茂事務局長は10日、記者会見し、シンガポール保健省が新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の可能性例と確認した男性研究者(27)の感染ルートについて、SARSウイルスの研究に使われた実験室で感染したとの見方を示した。
特殊な例であり感染拡大の恐れは低いとして「パニックに陥る必要はない」と強調した。
尾身事務局長によると、男性はシンガポール国立大の細菌学研究施設に勤務していたが、8月23日に、6日前までSARSウイルス研究に使われていた実験室に立ち入った。男性は26日に発熱し、今月3日から病院で検査を受けていた。
同事務局はシンガポールへの渡航延期勧告などを出す予定はないとしている。
(2003/9/10/22:32 読売新聞)
|