新型肺炎ワクチンに前進 猿の実験で成果、米チーム

共同WEB版
2003/12/05

新型肺炎(SARS)の原因ウイルスの遺伝子を使ったワクチンを米ピッツバーグ大と米疾病対策センターのチームが開発、猿に注射する実験で体内にウイルスに対する抗体や免疫細胞を作りだすのに、五日までに成功した。英医学誌ランセットに発表する。

 生体内でウイルス感染を防げるかどうかは未確認だが、国立感染症研究所の田口文広主任研究官は「生体内で働くことが確認されれば、ワクチン開発に向け非常に大きな前進」と話している。

 ワクチンは、SARSコロナウイルスの表面突起や膜など三種類のタンパク質の遺伝子をアデノウイルスに組み込んだもの。六頭のアカゲザルに二十八日間隔で二度、筋肉注射した。六週間後に採血して調べたところ、血清の中にSARSウイルスを無毒化する抗体や、免疫細胞の一種のT細胞ができていることが確認された。

 同チームは今後、SARSウイルスに感染することが確認されているフェレット(イタチの一種)に同ワクチンを注射して、新型肺炎の発症を防ぐ効果があるかどうかを調べる計画。【2003年12月5日】


もどる