臨床研究の情報公開


本院で胃腫瘍の内視鏡治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ

当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、別の研究で得られた過去の記録を用います。このような研究は厚生労働省の定めた「臨床研究の関する倫理指針」の規定により、研究内容の情報を公開することが必要とされております。この研究に関する問い合わせ等がありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。

【研究課題名】

H. pylori陰性の胃腺窩上皮型腫瘍(いせんかじょうひかたしゅよう)(癌)の発生機序に関する検討

【研究の対象】

 この研究は以下の方を研究対象としています。
2010年1月~2020年5月に当院で胃腫瘍に対して内視鏡治療を受けられた方。

【研究の目的・方法について】

 癌は遺伝子の病気だということが最近、明らかになってきました。遺伝子の病気といっても親から子へ伝わっていく遺伝的な病気ではなく、体細胞の遺伝子(例えば胃の細胞や肺の細胞の遺伝子)が量的あるいは質的に異常を起こし、正常な細胞増殖の制御機構が働かなくなり自律的な増殖をするようになると、癌が出来ると考えられています。
胃がんの多くはヘリコバクターピロリ菌感染が原因であり、ヘリコバクターピロリ菌の除菌治療により胃がんの発生率は抑制できることが明らかになってきています。一方、頻度は1%程度と稀ですが、ヘリコバクターピロリ菌の未感染の胃癌粘膜にも、胃がんが発生することが知られています。本邦では、年々ヘリコバクターピロリ菌の感染率は低下しており、今後、相対的にヘリコバクターピロリ菌の未感染の胃粘膜に発生する胃腫瘍(癌)の増加が予想されています。そのなかでも胃腺窩上皮型の腫瘍が近年増加しており、特にラズベリーの様な形態を示す胃腺窩上皮型腫瘍(癌)や腫瘍化(癌化)した胃底腺ポリープについて当科では研究を行っています。これらの胃腫瘍の遺伝子変化を調べることによって、どうのようにして胃腫瘍が発生するかというメカニズムに迫ることができれば、胃がんの予防や治療につながることが期待できると考えています。
本研究では、内視鏡的にラズベリーの様な形態を示し、病理学的に胃腺窩上皮型癌(腺腫・腫瘍)、胃底腺ポリープの癌化(腫瘍化・dysplasia(ディスプラジア)(腫瘍性変化))診断された患者さんの上部消化管内視鏡写真、胃粘膜組織の蛋白・遺伝子の発現の違いついて徹底的に調べます(DNA、RNA、蛋白質を実験機器を使って調べて、遺伝子の変異の有無や量的異常、メチル化異常の有無について調べます)。また、腫瘍と非腫瘍との違いを明らかにするために同じ患者さんから採取された他の胃粘膜組織も研究利用します。
 本研究の研究が達成されれば、ヘリコバクターピロリ菌未感染の患者さんに発生する胃腫瘍の診断だけでなく治療にも役立つと考えています。
 尚、本研究で得た癌組織や患者さんの診療情報と抽出されたDNAは、国立がんセンター研究所ゲノム解析分野に送られ、遺伝子の解析が行われます。

研究期間:倫理委員会承認日~2022年12月31日

【使用させていただく情報について】

 本院におきまして、既に胃腫瘍の内視鏡治療を受けられた患者さんの癌組織(試料)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、腫瘍組織を調べた結果と診療情報との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(年齢、性別、内服歴等)を調べさせていただきます。なお患者さんの腫瘍組織(試料)及び診療記録(情報)を使用させていただきますことは大分大学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得ています。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく情報の保存等について】

癌組織(試料)の保存は測定後に破棄します。診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、癌組織(試料)は焼却処分し、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。

【外部への情報の提供】

本研究の共同研究施設である国立がんセンター研究所への患者さんの試料・情報の提供については、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。なお、国立がんセンター研究所へ提供する際は、研究対象者である患者さん個人が特定できないよう、氏名の代わりに記号などへ置き換えますが、この記号から患者さんの氏名が分かる対応表は、大分大学医学部消化器内科学講座の研究責任者が保管・管理します。なお、取得した試料・情報を提供する際は、記録を作成し大分大学医学部消化器内科講座で保管します。
 試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
  大分大学医学部消化器内科学講座  村上 和成
  国立がんセンター研究所 エピゲノム解析分野 牛島 俊和

【研究組織】

【本学(若しくは本院)における研究組織】
          所属・職名               氏名
研究責任者 
大分大学医学部消化器内科学講座        教授 村上 和成
研究分担者 
大分大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 准教授 水上 一弘
   大分大学医学部診断病理学講座         教授 駄阿 勉
   大分大学医学部消化器内科学講座      客員研究員 福田 昌英 

【研究全体の実施体制】
研究代表者 
大分大学医学部消化器内科学講座 教授        村上 和成
 研究分担者
大分赤十字病院 消化器内科    部長        上尾 哲也
国立がん研究センター 研究所 エピゲノム解析分野
分野長         牛島 俊和
   湘南鎌倉総合病院消化器内科    部長        佐々木亜希子
   国立がん研究センター 研究所 エピゲノム解析分野 研修生      織田 麻奈美

【患者さんの費用負担等について】

本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来薬物などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

【研究資金】

 本研究においては,公的な資金である科学研究費補助金・若手研究・課題番号:20K16174・「プロトンポンプ阻害薬関連胃底腺ポリープとdysplasiaの発生機序に関する検討」、研究代表者 福田昌英、および大分大学医学部消化器内科学講座寄付金、国立がんセンター研究所 エピゲノム解析分野研究費を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

【本研究に係る利益相反について】

 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

【研究の参加等について】

本研究へ試料(癌組織)および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。

【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
  電 話:097-586-6193
 担当者:大分大学医学部 卒後臨床研修センター 
准教授 水上 一弘(みずかみ かずひろ)