臨床研究の情報公開


本院でヘリコバクター・ピロリの検査または胃癌の治療を受けた患者さん・ご家族の皆様へ
19961月から20224月までのヘリコバクター・ピロリ検査および胃がん治療の医学研究へ使用のお願い~

【研究課題名】
ヘリコバクター・ピロリ感染による胃粘膜傷害および胃癌発生機序解明に関する研究

【研究の対象】
 この研究は以下の方を研究対象としています。
1996年1月から20224月に当院で内視鏡検査とヘリコバクター・ピロリの検査を受けられた方および胃癌の切除術を受けられた方

【研究の目的・方法について】
 【背景】 がんと遺伝子の関係
がんは、元々健康な人にも存在する色々な種類の遺伝子に異常が積み重なって発生することが現在までの研究でわかってきています。発生した遺伝子の異常はがんを発症した患者さん1代限りのもので、お子さんなど次の代に引き継がれるものではありません。がんに関連する遺伝子にはがん遺伝子、がん抑制遺伝子と呼ばれるものがあり、これらは私たちの体に正常に存在するものです。これが異常をおこすとがんが生じる可能性があります。ヒトの体の中では、遺伝子の異常が積み重なった場合にがんを発症すると考えられていますが、その全てが解明されていないのが実状です。

 【目的】 ヘリコバクター・ピロリ感染症は胃がんとの強い関係が指摘されています。ヘリコバクター・ピロリに感染している人の方が、感染していない人より胃がんの発生率が高いというものです。
ヘリコバクター・ピロリ感染と胃酸を作る胃腺が縮小する萎縮性胃炎が持続すると、胃がん発生が高くなります。最近はヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することにより胃がん発生を抑制する可能性が指摘されています。しかし、完全には消失せず除菌治療後も一定の割合で胃がんが認められます。本研究では、ヘリコバクター・ピロリ感染による胃粘膜の変化、また感染した胃粘膜から発生した胃がんなど腫瘍組織の病変を比較することによって、ヘリコバクター・ピロリと胃がんとの関係を更に詳しく解明することを目的としています。

【意義】 この研究はヘリコバクター・ピロリに感染した胃粘膜において、感染によって胃粘膜に発がんに関連する遺伝子変化が発生するかどうかを調べるものです。これによってヘリコバクター・ピロリ感染と胃がん、また除菌治療後の胃がん発生との関係を調べます。調べる遺伝子は元々正常胃粘膜に存在するものであり、また腫瘍でない組織に軽度の遺伝子異常が存在したとしてもそれが胃がんである、また近い将来胃がんになる確率が高いことを示すものではありません。しかし、このような軽度の遺伝子の異常が積み重なることによりがんが発生する可能性があります。またヘリコバクター・ピロリに対する炎症反応にも個人差があることが考えられ、これにはお酒に強い人、弱い人がいるのと同じく遺伝子にわずかな違いがあることが考慮されます。このような感染に対する反応の違いを示す遺伝子の違いを調査していきます。また腫瘍に対する免疫反応に関する調査も行います。
この研究によりヘリコバクター・ピロリ感染症と胃がん発生との関係を明らかにし胃がんの早期発見および胃がん予防に役立てることを目的としています。

研究期間:2022年7月25日~2027年7月31日

【使用させていただく試料・情報について】
本院におきまして、既にピロリ菌の検査、除菌療法を受けられた患者さん、また胃癌の診断、切除治療を受けられた方の試料(血液、胃粘膜組織、胃がん組織)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。また、患者さんの診療情報(情報:年齢、性別、内視鏡検査の結果、血液検査の結果、胃粘膜の組織検査の結果など)も調べさせていただきます。
なお、本研究に患者さんの試料及び診療情報を使用させていただくことについては、大分大学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく試料・情報の保存等について】
試料の保存は論文発表後5年間、情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、試料は焼却処分し、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。
ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。

【外部への試料・診療情報の提供】
本研究で収集した試料および診療情報を他の機関へ提供することはありません。
 試料・診療情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
  大分大学福祉健康科学部 兒玉雅明

【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来新たな診断法、治療法などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
 
【研究資金】
本研究においては,公的な資金である大分大学医学部消化器内科学講座の基盤研究経費を用いて研究が行われます。

【利益相反について】
この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。

【研究の参加等について】
本研究へ試料および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
                   
【研究組織】
          所属・職名             氏名
研究責任者 大分大学医学部消化器内科学講座・教授   村上 和成
研究分担者 大分大学福祉健康科学部・教授       兒玉 雅明
大分大学医学部消化器内科学講座・准教授        沖本 忠義
大分大学医学部附属病院卒後臨床研修センター・准教授  水上 一弘
大分大学医学部消化器内科学講座・助教         岡本 和久
大分大学医学部附属病院消化器内科・助教        小川 竜
大分大学医学部附属病院内視鏡診療部・病院特任助教   福田 健介
大分大学医学部附属病院医療安全管理部・病院特任助教  平下 由香
大分大学医学部附属病院消化器内科・医員        福田 昌英
大分大学医学部消化器内科学講座・客員研究員      阿部 寿徳
大分大学医学部消化器内科学講座客員研究員       因幡 和美

既存試料・情報の提供のみを行う機関 
有田胃腸病院                     因幡 和美
あべ胃腸病内視鏡クリニック              阿部 寿徳

【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:0975866193
担当者:大分大学福祉健康科学部 教授 兒玉雅明(こだま まさあき)