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会見で決意を述べる団長の三角順一教授(右から2人目)ら=大分大医学部 |
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大分大学医学部は、スマトラ沖地震で被災し衛生状態が悪化しているインドネシアのスマトラ島北部に医療支援チームを派遣する。医師、臨床工学技士、看護師
の計六人が二十日から三月一日まで滞在し、発熱、下痢に苦しむ人や、けが人の治療に当たる。大分大は東南アジア諸国への医療支援をしてきたが、緊急支援で
国外に医師団を派遣するのは初めて。
長年、研究交流を続けているインドネシアの国立アイルランガ大学から派遣要請があり、医学
部内で参加者を募ってチームをつくった。三角順一教授(公衆・衛生医学)を団長に、川本文彦教授(寄生原虫学、マラリア学)、重光修教授(救急医学)、井
上亮講師(脳神経外科)、中嶋辰徳技士、川野千夏看護師が赴く。
支援するのは、被害が特に大きいバンダアチェ市から百キロほど離れたシグリ市の周辺。シグリ市があるピディ県は地震による死者が三千人とされる。六万人以上が家を失い、避難所生活を余儀なくされている。
家屋のがれきが放置されているなど衛生状態が悪く、発熱や下痢、けがの治療を施されていない人が多いという。
チームは二十日に福岡空港をたち、インドネシアに入国。二十三日にシグリ市に入り、アイルランガ大と共同で治療や医療機器の修理などの支援をする。
今後予想されるマラリアやデング熱の流行に対処する、長期的な医療支援の必要性も調査する。
大分大医学部で鳥巣岳彦学部長や派遣されるメンバーらが十七日に会見。三角団長は「現地は医療設備や薬剤はあるが、人手が足りないと聞いている。(現地の
情報が少なく)何ができるか分からないが、できることに取り組みたい」。重光教授は「日本でも同様の災害が起こり得る。今後の活動に役立てられるよう頑張
りたい」と述べた。鳥巣学部長は「帰国後の報告を聞いて、新たな派遣や継続支援の可能性を検討したい」と話した。
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