西ナイル熱、米で大流行か

夕刊フジWEB版
2003/07/24/14:52

 【ワシントン23日共同】死に至る脳炎を引き起こす可能性があるアフリカ北部の風土病、西ナイル熱が今夏、米国で大流行する兆しをみせている。

 米疾病対策センター(CDC)の22日の発表によると、患者は 21日現在、テキサスなど5州の8人だが、原因となる西ナイルウイル スを持つ蚊や鳥が確認された州は、既に33州に上り、同時期に20州 程度だった昨年を大きく上回った。

 専門家は「ウイルスを媒介する蚊が飛行機で世界中に運ばれる可能性 があり、日本でも厳重な警戒が必要だ」と警告。厚生労働省も新型肺炎 (SARS)に引き続き、新たな感染症の日本上陸阻止に追われている。

 西ナイルウイルスは、人にも動物にも感染するフラビウイルスの一種 。感染すると、発熱や頭痛などを起こし、脳炎で死ぬこともある。

 米国では1999年にニューヨーク州で死者が確認されたのを最初に 感染が拡大。昨年は40州で感染者が確認され、死者は280人を超え た。

 CDCのガーバーディン所長は「蚊の報告例などからして、今年はさ らに大きな問題になると予想される」と緊張の色を隠さない。

 対策が困難なのは、ウイルスに感染する生物が多く、感染経路も複雑 なためだ。米国では馬などの家畜のほか、150種類以上の野鳥や16 種類のほ乳類と、は虫類への感染が確認され、宿主が幅広いことが、急 速な感染拡大の一因とされている。

 人間は主にウイルスを持った蚊に刺され感染するが、輸血や臓器移植 、母乳からも感染する。

 CDCは「長袖、長ズボンの着用、虫よけスプレー使用」「庭先の水 たまりなど、ボウフラの生息場所をなくそう」とPR。野生生物の調査 をする地質調査所や、母乳や輸血の問題を扱う食品医薬品局(FDA) なども総動員して対策に懸命だ。

★西ナイル熱とは

 ウイルス感染によって起こる病気の一種で、もともとは北アフリカ 、中東、西アジア中心の風土病だった。1937年、アフリカのウガ ンダで最初にウイルスが確認された。感染しても約80%は無症状だが 、発熱や頭痛など風邪に似た症状が出ることがある。感染者150人に 1人程度の比率で重症になるケースがあり、脳炎を起こして死ぬことも ある。

(2003/07/24/14:52 夕刊フジWEB版)


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